【1135号】全米スーパー最大手・クローガーが、衣料品PB販売に力を入れる理由とは?
◎本日のニュース
1)見出し
Kroger Wants Shoppers to Add Clothes to Grocery Lists
ウォール・ストリート・ジャーナルの最新情報をいち早く知りたい人は、
2)要約
全米スーパー最大手のクローガー社は、来秋より一部店舗で独自衣料品ブランドの販売を始める。このブランドでは、「上質のベーシック」を目指し、子供から大人まで揃う。
これは、より利益率の高いストアブランドの増やす方針の1つである。また、食料価格の変動という外部環境のリスクを抑制する目的もある。
実際、クローガーは、食料価格の下落と競争激化により、既存店売上が10年ぶりに減少。不採算事業の売却や出店抑制など、リストラを余儀なくされている。
3)キーとなる英文
The nation’s largest supermarket chain said Friday that it will begin selling a new apparel brand next fall at around 300 Fred Meyer and Kroger Marketplace stores.
4)キーとなる英文の和訳
全米最大のスーパーマーケットチェーンは、来秋に新たなアパレルブランドの販売を始めると、金曜日に発表した。
フレッドメーヤーとクローガー・マーケットプレイスの店舗薬300店で販売する。
5)気になる単語・表現
befall | 他動詞 | (不幸などが)(人)に(運命で決まっているかのように)起こる |
be slated to do | 他動詞句 | ~する予定である。 |
(特に覚えておきたい単語)
【slate】
- (名詞)スレート、粘板岩
- (名詞)公認候補者名簿
- (名詞)負債記録
- (他動詞)(通常受身で)~を酷評する(for)
- (他動詞)(通常受身で)~を(日時などに)予定する(for)
(コメント)
be slated to doは頻出。
6)ビジネスのヒント
スーパー最大手のクローガーが、来年秋より独自ブランドの衣料品販売を始めるようです。衣料品販売は既に一部店舗で行っていますが、今回の特徴はストアブランド。所謂PBで、クローガーでしか購入できない衣料品ブランドを、開発・販売するようです。
【クローガーが独自ブランドの衣料品販売を始める理由】
- 食料価格下落など外部環境リスクを小さくするため。
- 競合する小売店が衣料品・食料品販売で、顧客の囲い込みをしているため。
- 独自ブランドで利益率を上げることで、利益額を増やせるから。
1について、食料価格の下落は、食料品が大部分のクローガーにはだいぶ応えているようです。何せ、10年ぶりに既存店売上が減少。直近四半期の既存店売上でも、やっと前年並の戻せたに過ぎません。その結果、今年に入って株価は三分の一以上下落しています。衣料品を力を入れて販売することで、食料価格の変動のリスクを和らげることができます。
2について、簡単に言えば、他社が衣料品販売で成功しているから、真似しようということでしょう。特に、ウォルマート・ターゲット・コストコは、食料品販売で集客数を増やし、衣料品販売で利益を稼ぐという方程式で収益を向上させています。さらに、アマゾンも、ホールフーズ買収により食品販売に本格参入。もちろん、アマゾンも、アパレル品を販売し、利益を稼いでいます。競合が、衣料品販売で儲けているので、クローガーも同じ方程式で儲けようとしているわけです。
3について、今回の特徴は独自ブランド。クローガーは、アパレル品のみならず、ストアブランド商品を増やすことで、利益率の改善に努めています。この結果、売上がさほど伸びなくても、利益額は増加。収益性が高まるわけです。逆に、売上・客数を伸ばすことが難しくなったとも言えるでしょう。売上が伸びない以上、利益率改善で収益性を向上させようという目論見です。
来秋から販売する独自のアパレルブランドの特徴をまとめると、次のようになります。
【独自アパレルブランドの特徴】
- 上質ベーシックが特徴
- アスレジャーにも対応
- フレッドマイヤー・マーケットプレイスが屋号の約300店舗で販売予定
一言で言えば、ユニクロを少し上質にしたタイプでしょうか。詳細・画像がないのでわかりませんが、ギャップ・ユニクロがターゲットになるのでしょう。人気のアスレジャー対応商品を投入するなど、クローガーの力の入れ様を物語っています。
クローガーの独自アパレル品販売は、収益低迷の対応策の1つ。対応策をまとめると、次のようになります。
【クローガーの収益向上策】
- 不振事業の売却(コンビニ予定)
- 出店抑制
- ネット通販拡充
- 利益率の高いPBの商品の売場拡大
- 専門性の高い新規事業への参入(外食・チーズ専門店)
1・2はリストラ、3~5は新たな収益拡大策です。今回の独自アパレルブランドは、4の一環です。5の新規事業の共通点は、専門性の高さ。外食では、「キッチン1883」という名前のカジュアルレストランチェーンを参入を、9月に発表。「素材から作る料理」や「手作りカクテル」など、ホンモノを追求しています。
チーズ専門店は、ニューヨーク拠点のマレーズ・チーズを今年初めに子会社化。高級チーズを販売し、こちらもホンモノを追求しています。
【注目点】
- カジュアルアパレルはコスパ重視の商材に。
- 成熟経済では、客数・売上を伸ばすのは難しい。
- 専門性・ホンモノ感は、差別化・客単価引き上げの成功要因。
1について、先述した通り、クローガーのみにならず、ウォルマート・コストコ・ターゲットも独自のアパレルブランドを販売。ネット通販大手のアマゾンも同じ。さらに、今年全米市場に参入した、独ディスカウンターのリドルも、モデルのハイディ・クルムがデザインしたアパレル品を販売しています。カジュアルアパレルは、コスパ重視でついで買いする商材になったのかもしれません。ユニクロにとっては、逆風ですね。
2について、アメリカのみならず、日本でも客数・売上を伸ばすのは難しく、収益性を向上させるのには、利益率引き上げが欠かせません。各社がPB商品の開発を急ぐ要因かもしれません。
3について、一方で高くても売れるのは、専門性・ホンモノ感の高い商品。だから、クローガーは、ホンモノ感のあるカジュアルレストランを始め、専門性の高い高級チーズ専門店を子会社したのでしょう。
大手小売チェーンが独自のアパレル品の販売を始めれば、割を食うのがアパレル専門店。こちらにも、今以上にホンモノ感が要求されることになるでしょう。
***************************
《今回のヒントのまとめ》
- クローガーが独自のアパレルブランドの販売を始めるのは、食料価格など外部環境リスクを小さくするためである。
- また、競合する小売チェーンが独自アパレルの販売で、顧客の囲い込みに成功していることも大きな理由である。
- さらに、利益率の高い独自ブランドの販売により、売上・客数が伸びない中で収益性を向上できるから、という理由もある。
- アパレル販売は、ウォルマート・コストコなど実店舗小売チェーンのみならず、アマゾンなどネット通販も行う。食料品で集客し、アパレル品で収益を上げるモデルである。
- カジュアルアパレルがコスパ重視のついで買い商材になる一方で、専門性・ホンモノ感の高い商材は、指名買いされ高くても売れる。
*************************
ウォール・ストリート・ジャーナルの最新情報をいち早く知りたい人は、
7)おすすめ商品・サービス
◎最近見つけた気になるもの
泉佐野市のふるさと納税は、本当に挑戦的です。
今度は麦とホップ2ケースを、1万円コースに追加。
まだ自宅のビール在庫はあるものの、ついついポチッとしてしまいそうです。
編集後記
最近、車通勤が多いため、新聞を読む時間がなくて困っています。
溜まるばかり。
そう言えば、11月に日経新聞が値上になりました。
ネット無しの4900円は、高く感じます。
高尾亮太朗のツイッター⇒ twitter.com/ryotarotakao
高尾亮太朗の公式サイト⇒ ryotarotakao.com
高尾亮太朗のTubmlr⇒ ryotarotakao.tumblr.com
高尾亮太朗のGoogle+⇒ gplus.to/ryotarotakao
高尾亮太朗のPinterest⇒ pinterest.com/ryotarotakao/
今日も長い記事を読んでいただき、ありがとうございました。
感謝・感謝・感謝です!
ご質問・ご相談・ご感想がございましたら、ご連絡ください。
メルマガ相互紹介を希望されるメルマガ執筆者様は、ご連絡お願いします。
私もごく少ない部数の時に、
いろんなメルマガ執筆者様に助けていただきましたので、
今回は私が恩返しします!
メルマガ相互紹介に関する連絡先はこちら
メルマガ連動のブログサイトを作りましたので、
できればコメントお願いします。
wsj.ryotarotakao.com/
当メルマガの情報については万全を期しておりますが、内容を保証するもの
ではありません。これらの情報によって生じた、いかなる損害についても、
補償はいたしかねますので、ご了承ください。
また、当メルマガでは広告も誌面の一部として、読者様に有効であると
思われるものを厳選しておりますが、内容については当方で責任を負える
ものではございません。ご配慮の上ご利用頂けます様お願い申し上げます。
———————————————————————-
■編集・発行:高尾亮太朗 wsj.ryotarotakao.com/
■ご意見・ご感想・お問合わせはお気軽に!→ tryotaro1975@aol.com
■公式サイト: ryotarotakao.com
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
ad
2018/01/11 | ファッション・アパレル業界 商品戦略, 小売店, 差別化, 店舗
関連記事
-
【1144号】スタートアップ企業が大型サイズアパレル市場に着目する理由とは?
Airdrie ※火曜日は簡...
-
【1140号】アバクロ・フットロッカーの業績回復も喜べない理由
smile-me ※火曜日は簡易版に変更しました...
-
【1136号】高級男性アパレル店がお手頃(低価格ではない!)スーツを売る理由
ben lin ※火曜日は簡易版...
-
【1129号】衣類レンタルのレント・ザ・ランウェイが、低価格定期利用プランを始まる理由
Thomas Hawk ◎本日のニュ...
新着記事
-
【1154号】今年のマーケットで確実に起こる4つのこと
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━...
-
【1153号】グーグルの社内用自転車の盗難が無くならない理由
━━━━━━━━━━━━━━━...
-
【1152号】新春スペシャル2:ダイエットしたければ、TRFに従え!
TipsTimesAdmin ...
-
【1151号】新春スペシャル1:目標達成したければ、いつするかを真っ先に決めろ!
Kevin Simmons ...
-
【1150号】年末商戦におけるネット通販のギフトラッピング最新事情
Annette Young ※火曜日...
コメント/トラックバック
トラックバック用URL:
この投稿のコメント・トラックバックRSS