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【1123号】アマゾンが企てるホールフーズ改革の是非とは?

whole food market

 

 

 

 

◎本日のニュース

1)見出し

Amazon Puts Whole Foods on Fast Track to Conventional Supermarket

 

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2)要約

アマゾンの買収が完了したホールフーズが、運営方法を来年から変更する。これまでは、地元商品などを店舗独自に仕入れて、所謂市場の雰囲気を作り出していた。しかし、これからは、本部主導の仕入れになり、メーカー販売員による店舗独自の販促が無くなる。

 

これは、買収したアマゾンの意向である。意思決定を本部に集約させることで、店舗運営の効率化を行い、コスト削減を目指す。この原資で、値下げを行う。

 

ただし、デメリットもある。販売員による説明が必要なプレミアム商品の売上減少や、店舗従業員の知識量の低下などが、懸念される。

 

3)キーとなる英文

Whole Foods will change the way companies can sell and market their products in its stores beginning next year, one of the biggest moves yet in its push to operate more like a traditional market.

 

4)キーとなる英文の和訳

ホールフーズは、店内での販売・販促手法を来年変更する予定である。

これは、これまで最大の変化の1つであるが、まだ昔ながらの市場のような運営を推し進めている。

 

5)気になる単語・表現

conventionalize 他動詞 ~を様式化する
streamline 他動詞 ~を合理化する
representative 名詞 外交員、営業員
adovocacy 名詞 支持、擁護
distract 他動詞 (注意など)をそらす;(人)を当惑させるそらす
noncompete 名詞 競争防止
bar 他動詞 ~を阻止する

 

(特に覚えておきたい単語)

【streamline】

(英英)

  • give something a smooth even shape so that it can move quickly
  • make a system, an organization, etc. work better, especially in a way that saves money

(コメント)

元々「滑りを良くする」という意味。それから、「合理化」に転化。

6)ビジネスのヒント

アマゾンの買収でホールフーズは、生鮮品の大幅値下げを断行しました。その結果、米スーパーマーケット業界でのシェア向上。記事によると、約16%シェアが増加したようです。この成功体験が、次なるホールフーズ改革を生み出します。その改革とは、一言で言えば、「中央集権化」です。

 

中央集権化と聞くと、政治のような(特に選挙祭りが始まりましたので)イメージがわきますが、この場合は、「本部主導」という表現がより適切でしょう。個店による品揃え・販促を容認してきたホールフーズですが、来年から運営方法が本部主導に変更されます。

 

【ホールフーズの運営方法の変更】

  • 品揃えの統一(本部主導)←これまでは個店仕入れ可能
  • 販促の統一(本部主導)←これまでは個店独自の販促実施

 

1は価格の統一も含まれているようです。従来は、地元食材を店舗独自で仕入れたりできました。それが、来年からはすべて本部を通さないとできなくなり、本部が決めた品揃えが全店共通になるようです。

 

2は、メーカー営業員による店舗独自の販促(実際にはメーカーと契約したサードパーティーによる販促)が無くなります。これも、本部決定の販促が、原則全店に適用されます。

 

これら「中央集権化」の目的は、ずばりコスト削減。なぜ今さらコスト削減なのか?それは、値下げでシェアアップを実現した成功体験にあります。つまり、野菜や卵・牛乳など購入頻度の高い商品を値下げすれば、目に見えて客数が増え、売上が伸びることがわかりました。ならばあとは、それを可能にする環境を作るだけです。値下げの原資を確保するための、コスト削減なのです。

 

本部主導で品揃え・価格・販促を決めれば、店舗独自に決める必要が無くなります。店舗業務の仕事が減るので、コスト削減になります。さらに、メーカー販売員の売込みは、従業員の時間を束縛することになります。本来するべき業務ができなくなるなど、マイナス面も大きいのです。だからこそ、アマゾンはメーカー営業員による各店販促を禁止したのです。

 

しかし、個店仕入れ・個店販促の禁止には、デメリットもあります。

 

【個店による仕入れ・販促の禁止のデメリット】

  • 品揃えに面白み・地域性が無くなる→客離れの恐れ
  • 商品説明・販促が必要なプレミアム品の売上源→客単価の低下の恐れ
  • ローカルブランドのホールフーズ離れ→長期的な商品力低下
  • 従業員の知識力低下による販促の弱体化→客単価低下の恐れ

 

1について、高品質のローカル食材を取り扱っていることがウリだったホールフーズの強みが無くなります。それにより、品揃えに面白みが無くなります。これは、短期的・長期的に客離れを起こす恐れがあります。

 

2について、販売員による商品説明・販促ができなくなることで、プレミアム品の売上が低下する恐れがあります。プレミアム品の販売も、ホールフーズの強み。これも無くなります。

 

3について、ホールフーズでの販売が期待できないとなれば、ローカルフーズのホールフーズ離れが起こる恐れがあります。これは、長期的な商品力低下を招きかねません。

 

4について、従来メーカー販売の教育依存していた従業員の商品知識・業界知識が低下しかねません。これは、販促・販売力の低下を引き起こします。

 

ホールフーズの強みを手放してまで、コスト削減を目指すのは、大きな疑問です。それでも、実行するのは、それだけ値下げ効果が大きかったからでしょう。失うものも大きいですが、客数低迷を克服できた成功体験はそれだけ強烈だったようです。

 

【注目点】

  • 実店舗の強みを失うと、ネット通販の展示場に成り下がる恐れあり。
  • ネット通販専業が店舗ビジネスに参入すると、価格競争が起きやすい。
  • 効率化はどの業界でも求められる。

 

1について、アマゾンによる「中央集権化」は、ホールフーズの強みを手放す恐れがあり、結果的に、ホールフーズ店舗はアマゾン販売品の展示場に成り下がる可能性があります。というのも、ホールフーズ全店で行う販促対商品が、アマゾンの通販サイトでも販売される可能性があるからです。効率的に店内販促を行い、店舗内だけではなく店舗外での販売にもつなげる。結果的に、アマゾン通販の展示場になりかねません。

 

2について、アマゾンの成功体験は、今後ネット通販専業企業の実店舗ビジネス参入のお手本になるかもしれません。店舗運営を効率化してコスト削減を行い、その原資で値下げをする。その結果、客数が増えれば、業界内シェアが向上するという理屈です。

 

3について、販管費を掛けて販売するのが、ホールフーズのビジネスモデル。しかし、それが行き詰まったからこそ、ホールフーズは客離れを引き起こしたのです。プレミアム品を販売するどの業界の企業にも、効率化は求められるのです。逆に、効率化によるコスト低減を行わなければ、ネット通販専業などが参入し、市場からの退場を余儀なくされるかもしれません。

 

「中央集権化」が完全に行われることはないと思います。というのも、個店主義はホールフーズの強みの1つだからです。強みを失えば、更なる客離れを引き起こしかねません。しかし、これまでのような個店による品揃えや販促は無く成るでしょう。この影響を一番受けるのが、メーカーやメーカーから委託された販売企業。この集約化の動きは、ネット通販市場の拡大する日本でも今後起こる可能性は高いでしょう。

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《今回のヒントのまとめ》

  • アマゾンがホールフーズの運営を本部主導にするのは、コスト削減を行い、その原資を値下げに使いたいからである。値下げすれば、客数が増えることは実証されている。
  • 具体的には、各店の品揃えや販促を本部が決定する。従来のようなメーカー販売員による売込み・販促はできなくなる。
  • コスト削減になるがデメリットもある。品揃えに面白みに無くなることや、メーカーによる販促が必要なプレミアム品の売上低下、ローカルブランドのホールフーズ離れ、従業員の商品・業界の知識低下による販促弱体化などである。
  • アマゾンの成功事例により、今後ネット通販専業企業が店舗ビジネスに参入すれば、値下げが行われる可能性は高い。
  • また、プレミアム品販売の小売店も含めて、あらゆる業界・企業で効率化は求められる。それだけ、消費者は価格に敏感になっている。

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今度は麦とホップ2ケースを、1万円コースに追加。

まだ自宅のビール在庫はあるものの、ついついポチッとしてしまいそうです。

 

 

編集後記

結局、ヤフオクで中古スマホを買いました。

どの程度のものかは、着いてみてのお楽しみ。

価格からして、2年持てばいいとします。

 

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今日も長い記事を読んでいただき、ありがとうございました。

感謝・感謝・感謝です!

 

 

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私もごく少ない部数の時に、

いろんなメルマガ執筆者様に助けていただきましたので、

今回は私が恩返しします!

 

 

 

 

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