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【702号】3ドルのネイル製品が示す、アメリカ個人消費の実態とは?

化粧品いろいろ

by courtesy of egonzalesmarquez

 

◎本日のニュース

1)見出し
What Sales of $3 Nail Polish Say About the U.S. Economy

 


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2)要約 アメリカ人の不要不急品に対する支出は、実に緩慢である。実際、美容品メーカーのコティは、6月までの四半期の売上は前年比で増加したものの、9月までの3ヶ月の売上は弱いと予測している。   コティがこのように予測したのは、一部の量販店が在庫を絞っているからである。在庫をの削減は、売れ行きが悪い証拠である。   このように消費が低迷する要因としては、消費者の二極化や消費されるモノの二極化を指摘する声がある。

◎キーセンテンスとその翻訳

3)キーとなる英文 The sluggishness in some Americans’ discretionary spending is evident in a $3 bottle of nail polish.

 

4)キーとなる英文の和訳 アメリカ人の不要不急品に対する支出が緩慢なのは、3ドルのボトル入りマニキュア液が証明している。

 

5)気になる単語・表現

sluggishness 名詞 鈍さ、緩慢さ;不活発
discretionary 形容詞 任意の、自由裁量の
evident 形容詞 明白な、明らかな

◎記事から読み取った今日のヒント

6)ビジネスのヒント

記事のタイトルを和訳すると、「3ドルのマニキュアの売上が示すアメリカ経済の実態」となるでしょうか。その実態とは、

3ドルという安いマニキュアが売れないほど、アメリカ経済の実態は弱々しい

ということになります。

3ドルのマニキュアを販売するのは、美容品メーカーのコティ社(Coty Inc.)。コティ社は6月までの四半期決算は売上増と好調でしたが、9月までの次期四半期売上はかなり慎重に予測しています。そう判断したのは、

一部の量販店が在庫を削減し、注文が減少している

からです。実際、7・8月売上で、2000万~2500万ドルほど売上は減少しているようです。特に、アメリカナンバーワンブランドのサリーハンセン(Sally Hansen)ブランドが苦戦している模様です。

売上急減に見まわれているのは、コティ社だけではありません。同じく美容関連メーカーのエリザベスアーデン社(Elizabeth Arden Inc.)も、小売店の在庫縮小の影響で、セレブ香水の売上が落ちたと発表しています。

そこで、小売店に目を転じてみると、実際販売に苦戦しているようです。ウォルマート・ストアーズ社(Wal-Mart Stores Inc.)は、客数の減少で売上が低迷しています。そして、その要因として、

低所得の顧客が、必要なモノ以外の支出を渋っているから

としています。

しかし、アメリカ経済全体は、好調な自動車販売と住宅市場、そして雇用環境の好転により、回復基調にあります。このような矛盾が生じるのは、次のような二極化が起こっているからです。

【アメリカ個人消費で起こる二極化】

[消費者の二極化]資産効果のある人は支出を拡大させるが、雇用に不安を抱える人は支出を渋る

[消費対象物の二極化]必需品には大金を使うが、不要不急品には支出を渋る

消費者の二極化とは、株高や住宅価格の上昇の恩恵を受ける人と受けない人との二極化です。前者は資産効果により、消費を拡大します。一方、後者は依然高い失業率と緩慢な賃金上昇に直面して、財布の紐を締めることになります。だからこそ、後者をターゲットとする3ドルのマニキュア液が売れなくなるのです。

消費対象物の二極化とは、自動車や住宅などの必需品と化粧品などの不要不急品とで起こる、対照的な消費行動です。前者に対しては気前よく大金を使う一方で、後者の不要不急品に対しては、消費を慎重に行っているのです。また、自動車や住宅に大金を使ってしまったから、不要不急品を買う余裕が無くなった、と言えるかもしれません。

アメリカの小売企業や消費財メーカーは、衣料品やアクセサリーなどの不要不急の商品の売上が夏に急減速したのは、自動車などの大型商品の購入や自宅のリフォームに多額の支出を行ったからと、答えています。実際、自動車関連品を除けば、8月のアメリカ小売売上は、たったの0.1%増に過ぎません。これでは、年後半の経済成長を消費が牽引できるかどうか、疑問が生じます。

夏から不要不急の消費が急減速したのは、今年から実施された給与税の増税のためでしょう。経済環境・雇用環境は改善しているので、それ以外の影響はなかなか考えにくいものです。ならば、同様の現象が、消費増税が行われる日本で起こっても不思議ではありません。日本の場合、次のような二極化が現在起こっています。

【日本における消費の二極化】

[消費者の二極化]株式・不動産を所有する人は支出旺盛だが、所有しない人は支出を渋る

[消費対象物の二極化]高級品は売れているが、生活必需品に対しては節約志向が強い

消費増税後、この二極化がさらに強まるものと予想しています。

Coty www.coty.com/

Sally Hansen  sallyhansen.com/

Elizabesh Arden www.elizabetharden.com/

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《今回のヒントのまとめ》

1)  アメリカでは不要不急品の売上が、夏から急減している。実際、6月までの四半期では売上を伸ばしたコティ社は、9月までの次期四半期売上が弱まると予想している。

2)  このような事態が起こったのは、消費に二極化が生じているからである。その二極化とは消費者と消費対象物に対する二極化である。

3)  消費者の二極化では、資産効果のある消費者が支出を増やす一方で、株式や住宅を所有せず雇用環境に不安を覚える人が、支出を渋っている。

4)  消費対象物に対する二極化では、自動者や住宅などが売れる一方で、化粧品やアパレルなどの不要不急品の売上が減速している。

5)  二極化の要因は、今年からの給与税の増税によるものであり、同様に影響が、消費増税後の日本でも生じると予想される。

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◎最近見つけたいいもの

普段、缶コーヒーやペットボトルコーヒーをほとんど飲まないのですが、たまたま飲んだこちらのコーヒーは、本当に美味しかった。

ほんのり香るオレンジの香りが、ペットボトルコーヒーらしからぬ上品な味わいを醸し出していました。

あまり甘くないのも、いいですね。

Café Deli Sunny Orange Latte

goo.gl/EIwSj2

 

◎ウォール・ストリート・ジャーナルで学ぶ英単語

WSJメルマガを始めてから、5年経ちました。

この5年間でわかったことがあります。

読む上で知っておくべき単語さえわかれば、

大まかな内容はわかるということ。

備忘録の意味でも、調べた単語をサイト上にアップしています。

今後、メルマガとしてスピンアウトする予定にしています。

english.ryotarotakao.com/

 

◎Winecarte 簡単ワインの選び方

ワインカルテを作る時にいつも感じるのは、

ワインの情報を探すのが大変ということ。

公式サイト・通販サイトをいくつかあたって、

作っています。

wine.ryotarotakao.com/

編集後記

アパレルにも二極化が起こっているようです。

大人向けアパレル企業は業績を伸ばす一方で、子供向けアパレル企業は売上低迷に苦しんでいます。

景気回復に沸く日本ですが、日本企業でも二極化があるのでしょうね。

 

 

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