【705号】マクドナルド・バーガーキングがヘルシー商品を導入する理由とは?
by courtesy of theimpulsivebuy
◎本日のニュース
1)見出し
McDonald’s to Offer Alternatives to Fries, Sodas
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2)要約
マクドナルドは、売上の大きな20の地域で、バリューセットのサイドメニューとして、フライドポテトの代わりにサラダ・果物・野菜を提供するとともに、子供向けハッピーミールではヘルシーな飲料を薦めると、発表した。
目的は、子供の肥満を抑制するためであり、健康問題に関わるNPOなどの団体からの圧力を受けていた。 今回のメニュー改定では、NPOなどとの提携にもこぎ着けた。
ただしマクドナルドは、消費者がヘルシーメニューを選ぶかどうかはわからないとしている。というのも、以前に、ハッピーミールに果物を加えたり、フライドポテトのないセットメニューを発売したが、ヘルシーメニューを選ぶ親はほとんどいなかったという。
◎キーセンテンスとその翻訳
3)キーとなる英文
McDonald’s Corp. plans to offer customers in its largest markets a choice of side salad, fruit or vegetable in place of French fries in its value meals and to push healthier beverages for its Happy Meals.
4)キーとなる英文の和訳 マクドナルド社の計画では、売上の大きな地域で、バリューセットにおけるサイドメニューの選択肢として、フライドポテトの代わりにサラダや果物、野菜を提供するとともに、ハッピーミールでよりヘルシーな飲料を販促するという。
5)気になる単語・表現
in place of ~の代わりに=instead of
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◎記事から読み取った今日のヒント
6)ビジネスのヒント
マクドナルド社(Mcdonald’s Corp.)が、ヘルシーメニューを導入するようです。この発表と同時期に、バーガーキングワールドワイド社(Burger King Worldwide Inc.)もヘルシーメニューを導入しています。
Burger King Tries New French Fries
両社のメニュー内容をまとめると、次のようになります。
【マクドナルドとバーガーキングのヘルシーメニュー】
[マクドナルド]バリューセットのサイドメニューにサラダ・果物・野菜を導入、ハッピーミールのメニューボードで水・牛乳・ジュースのみ表示
[バーガーキング]低脂肪・低カロリーのフライドポテト・サティスフライ(Satisfries)を発売
マクドナルドでは、バリューセットで、フライドポテトの代わりに野菜・果物を選択可能にします。さらに、子供向けハッピーミールでは、ソフトドリンクではなくよりヘルシーな飲料を薦めるようです。一方、バーガーキングは、従来のフライドポテトとは別に、ヘルシーなフライドポテトを発売します。
このように、両社ともヘルシーメニューを導入するわけですが、その理由・目的は、全く異なります。
【マクドナルド・バーガーキングがヘルシーメニューを導入する理由・目的】
[マクドナルド]健康促進団体からの要望に応えるため
[バーガーキング]低迷する客数をテコ入れするため
マクドナルドは、健康促進団体から、子供に対するマーケティングをやめ、栄養を促進するよう、圧力を受けています。今回のヘルシーメニュー導入は、この圧力に対応したものであり、実際、健康促進を目指すNPO団体と提携して、発売するようです。
一方のバーガーキングは、高脂肪・高カロリーのフライドポテトの売上低迷により、客数が伸び悩んでいます。フライドポテトの販売低迷は、バーガーキングだけに該当するものではなく、フライドポテトを販売するファストフードチェーンすべてに当てはまるようです。アメリカの既存店売上高が低迷するバーガーキングにとっては、売上テコ入れ策が必要になり、サティスフライの開発・発売に至ったようです。
マクドナルドがヘルシーメニューを導入する目的として、売上拡大も考えられますが、その業績・導入地域を考えると、その効果はさほど期待していないように思えます。ヘルシーメニューを導入するのは、アメリカ・中国・イギリスであり、これらの国のうち売上が低迷しているのは、中国のみ。アメリカは、売上成長率が鈍化しつつあるものの、直近四半期の既存店売上高はプラスを維持。イギリスも、低迷する欧州市場の中、好調を保っているようです。中国では、ファストフード市場でKFC(ケンタッキー・フライドチキン)にシェアで負けている上、さらに競争激化・コストアップにより、かなり苦戦している模様。しかし、ヘルシーメニューを導入すれば、KFCとの差別化ができるものの、その他の低迷要因を覆すことができるかはかなり疑問。売上拡大よりも「マクドナルド=子供が食べても大丈夫」というイメージを植え付けることで、子供の栄養を気にする親ファストフード離れを食い止めることが主目的のように思われます。
実際、ヘルシーメニューの導入を迫ったNPO団体とマクドナルドとの考え方は、かなり異なります。
【ヘルシーメニュー導入に関するNPO団体とマクドナルドの見解の違い】
[健康促進のNPO]選択肢がないから、フライドポテトやソーダ類を飲む。ヘルシーな選択肢があれば、ヘルシーなメニューを選ぶことなり、健康が促進する。
[マクドナルド]実際に消費者が選ぶかどうかは疑問。フライドポテトやソーダ類を食べたいから、注文している。
マクドナルドがこのような見解を持つのは、以前にもヘルシーメニューを導入したものの、際立った効果が見込めなかったから。例えば、ハッピーミールのフライドポテトの代わりにスライスしたりんごを選べるようにしていたが、りんごを選んだ親はほとんどいなかったようです。また、フライドポテトのないハッピーミールやナゲットの数を減らしたセットのテスト販売をしたものの、売上は良くなかったようです。
健康促進のために導入したヘルシーメニューが、実際にはさほど注文されないのは、無理もありません。それは、マクドナルドにヘルシーメニューを期待していないからでしょう。ヘルシーメニューを食べたいならば、他のレストランチェーンに行けばいいのです。また、子供にヘルシーメニューを与えたいと考える親が、そもそもマクドナルドのターゲットではないことも考えられます。ヘルシーさよりも量と価格でマクドナルドを選んだのなら、子供に与えるメニューも量と価格で選ぶはず。だから、ヘルシーメニューを導入しても、さほど売れ行きが良くなかったのでしょう。
しかし逆に考えれば、ヘルシーメニューを導入することで、健康を重視する親を新たなターゲットにしているのかもしれません。量と価格で選ぶ親よりも、健康を重視する親の方が、より単価の高い商品を注文してくれる確率が高くなります。そして、実際、マクドナルドの全米既存店収益(直近四半期)では、売上は辛うじて1.0%プラスのものの、営業利益は前年並であり、利益率の低下は否めません。ヘルシーメニューを導入することで、1ドルメニューではなくより高単価なメニューを注文してくれる見込み客を集客し、利益率の向上を目指しているのかもしれません。客数よりも客単価引き上げこそが、ヘルシーメニュー導入の本当の目的と考えられるのです。
一方のバーガーキングでも、新商品のサティスフライを通常のフライドポテトよりも25セント高く販売するそうです。レストラン店で二番目に注文が多いフライドポテトで、高単価商品を導入することで、注文数の小さな脇役メニュー(例えばサラダやスムージー・ラップなど)でヘルシーメニューを導入するよりも、収益への貢献が大きくなります。(注文数一位は飲料)よって、バーガーキングも、サティスフライの導入により、客数のみならず客単価の引き上げも目指していると言えるでしょう。
このように、マクドナルド・バーガーキングがヘルシーメニューを導入する目的は、客単価引き上げによる既存店収益の改善であるのではないでしょうか。
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《今回のヒントのまとめ》
1) マクドナルドは、バリューセットやハッピーミールでヘルシーなオプションを拡充する。一方、バーガーキングは低脂肪・低カロリーのフライドポテトを発売する。
2) マクドナルドの目的は、健康促進団体からの圧力に対応するためであり、バーガーキングの目的は、ヘルシー志向の高まりにより低迷するフライドポテト売上をテコ入れすることである。
3) しかし、マクドナルドは、ヘルシーメニューを拡充することにより、従来獲得できなかった価格よりも健康を重視する消費者を獲得できる。その結果、客単価引き上げにより、低迷する営業利益を改善できる。
4) 一方のバーガーキングも、新フライドポテトを通常のポテトよりも高く販売することで、客単価の引き上げが可能となる。さらに、注文数の多いフライドポテトの単価が向上することで、全体の収益にも大きく寄与する。
5) このように、ヘルシーメニューの拡充・導入する目的は、客単価引き上げによる収益改善ではないか。
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編集後記
低カロリーのフライドポテトは、一度試してみたいですね。
日本でも発売してくれないかなぁ。
ヒット商品になる可能性は高いと思います。
原材料は気になりますが。
高尾亮太朗のツイッター⇒ twitter.com/ryotarotakao
高尾亮太朗の公式サイト⇒ ryotarotakao.com
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今日も長い記事を読んでいただき、ありがとうございました。
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私もごく少ない部数の時に、
いろんなメルマガ執筆者様に助けていただきましたので、
今回は私が恩返しします!
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