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【709号】P&GがAmazonと提携してパンパースのネット通販に力を入れる本当の目的とは?

昔のパンパース

by courtesy of Elizabeth

 

 

◎本日のニュース

1)見出し 
Soap Opera: Amazon Moves In With P&G

 

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2)要約

プロクター・アンド・ギャンブル(P&G)社の倉庫の中に、アマゾン・ドット・コムのスペースがある。そこでは、アマゾンの従業員が、P&G社製品を梱包・出荷する。アマゾンのこの取組みを、ベンダーフレックスと呼ぶ。

 

ベンダーフレックスによって、アマゾンは配送・在庫管理コストを削減でき、その分低価格で販売できる。また、急速配送も可能となる。一方、P&Gのような消費財メーカーは、配送コストの削減だけでなく、急成長するネット通販の売上を拡大できる。

 

消費者向け日常必需品は、価格の低い割にスペースを取るので、配送費が高く付き、ネット通販には向いていないと考えられていた。しかし、消費者の買い物習慣の変化と物流の効率化により、この市場は2015年まで年率25%も拡大するとされている。

 

◎キーセンテンスとその翻訳

3)キーとなる英文

The e-commerce giant is quietly setting up shop inside the warehouses of a number of important suppliers as it works to open up the next big frontier for Internet sales: everyday products like toilet paper, diapers and shampoo.

 

4)キーとなる英文の和訳

そのネット通販巨大企業は、多くの重要仕入れ企業の倉庫の中に、密かに店舗を構えようとしている。

というのは、そうすることによって、インターネット販売の次の大きなフロンティアが広がるからである。

そのフロンティアとは、トイレットペーパーやおむつ・シャンプーなどの日用品である。

 

5)気になる単語・表現

warehouse

名詞

倉庫、商品保管所

diaper

名詞

おむつ

 

◎記事から読み取った今日のヒント

6)ビジネスのヒント

P&G社(Procter & Gamble Co.)とアマゾン・ドット・コム社(Amazon.com Inc.)は提携して、おむつのパンパース(Pampers)やペーパータオルのバウンティ(Bounty)などの日用品のネット通販を行っています。ただし、アマゾンのサイト内に専用販売ページを設けるだけではありません。P&Gの倉庫内にアマゾンのスペースを設け、アマゾンの従業員がP&G製品の梱包・出荷を行うのです。同様の取り組みは、他の日用品メーカーとも行われ、「ベンダーフレックス(Vendor Flex)」と呼ばれています。

 

そこで、アマゾン・日用品メーカーにとってのベンダーフレックスのメリットをまとめると、次のようになります。

 

【アマゾン・日用品メーカーにとってのベンダーフレックスのメリット】

[アマゾン1]配送・在庫管理コストの削減→低価格販売

[アマゾン2]便利な立地からの出荷が可能→急速配送

[日用品メーカー1]配送コストの削減

[日用品メーカー2]顧客の囲い込み

 

まず、アマゾンのメリットから。仕入先メーカーの倉庫を利用できることで、メーカー倉庫からアマゾン倉庫までの配送をカットできます。また、アマゾン倉庫内に日用品を在庫する必要がなくなり、在庫管理コストの削減にもつながります。その代わりアマゾンは、自社倉庫により利益率の高い商品を在庫できるようになり、利益率向上にもつながります。このコスト削減の結果、競合他社よりも低価格の販売が可能となります。

 

さらに、日用品メーカーの倉庫は便利な立地にあるため、迅速な配送が可能となります。こちらも、競合他社との差別化になり、早い到着を望む消費者ニーズを満たすことになります。

 

同様に、P&Gなどの日用品メーカーも、アマゾン倉庫までの配送をカットできます。また、売上を急速に拡大しているアマゾンの定期購入サービスを活用することで、顧客の囲い込みが可能となります。アマゾンの定期購入サービスでは、サプリメントやシリアルなど日常使う消耗品を、定期的に契約者に配送します。利用者は、定期的に購入する代わりに、15%の割引を受けられることから、売上を急速に伸ばしているようです。P&Gなどの日用品メーカーは、この定期購入に目を付けたのです。一度このサービスで自社製品を選択してもらえれば、ユーザーが契約を破棄するまで、競合ブランドに顧客を奪われることなく売上を確保することができます。

 

アマゾン・日用品メーカーが、日常必需品のネット通販に力を入れるのは、もちろんその市場の成長性が高いからに他なりません。ある調査によると、アメリカ人が日常必需品をネット通販で購入するのは、たったの2%。ネット通販の利用がほとんどされていないのは、日常必需品の特性ゆえのこと。価格が低い割にかさばるという特性により、配送コストが高くつくというデメリットがあるのです。

 

しかし、ネット通販利用者の増加や物流コストの低下により、2012年で160億ドルの市場が、今後拡大し、2015年には320億ドルに倍増するようです。年率にして、なんと25%の成長率になります。この高い成長性ゆえに、ネット通販最大手のアマゾンと日用品メーカーは協力するのです。

 

スーパーやドラッグストアで販売されているような、消費者向けパッケージ商品のネット通販が、ネット通販全体の6%に拡大すれば、アマゾンの売上は100億ドル増えるとされています。この販売機会を捉えるには、急速配送と低価格販売・幅広い品揃えが必要となります。ベンダーフレックスを活用すれば、これら3つをすべて備えることができるのです。

 

このように、ベンダーフレックスには、アマゾン・日用品メーカー双方のメリットがあるのですが、P&Gにはさらなる目的(野望)があるのです。それは、パンパースやバウンティなどの購入の際に、スキンクリームや選択性洗剤などの製品も一緒に販売することです。アマゾンはP&G倉庫内から出荷するので、ユーザーは、その他P&G製品も製品価格だけで購入できます。一方で、アマゾンとP&Gは、同じ倉庫内に在庫している商品ならば、P&G倉庫内のアマゾンブースまでの配送コストがほとんどかからず、売上を伸ばすことができます。さらに、P&Gは、パンパースの定期購入サービスで、その他自社製品の販売もできるので、自社製品への囲い込みをさらに強化できます。

 

【P&Gがベンダーフレックスに参加するさらなる目的】

定期購入製品以外の自社製品の販売にも繋げられ、自社製品への囲い込みを強化すること

 

P&Gの新CEOのA.G.ラフリー(A.G. Lafley)氏は、売上拡大の難しい経済状況では、ネット通販こそが成長率の最も高い販売ルートの一つと認識しているようです。だからこそ、ネット通販最大手のアマゾンと提携したのです。P&Gがネット通販へのシフトにより収益拡大に成功すれば、その他日用品メーカーも量販店の実店舗販売からネット通販にシフトするものと思われます。そうなれば、実店舗販売を念頭においたマーケティング手法が変わるかもしれません。店内販促やパッケージデザインよりも、サイト内コミュニケーションに力が注がれるようになるのではないでしょうか。

 

P&G@Amazon.com

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《今回のヒントのまとめ》

1)  アマゾンとP&Gが倉庫利用で提携した背景には、日常必需品のネット通販市場の高い成長性がある。

2)  またアマゾンは、配送・在庫管理のコスト削減と急速配送が可能となるので、この販売機会を競合よりも獲得できる。

3)  一方でP&Gなどの日用品メーカーは、コスト削減のみならず、アマゾンの定期購入サービスを利用することで、顧客の囲い込みが可能となる。

4)  P&Gは、さらなる目的がある。それは、定期購入のパンパースやバウンティと一緒にその他自社製品を販売することで、自社製品への囲い込みを強化できる。

5)  日用品メーカーが、量販店の実店舗販売からネット通販での販売にシフトすれば、店舗内販促やパッケージデザインなどの現状のマーケティングが、サイト内コミュニケーションに変化するかもしれない。

 

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7)おすすめ商品・サービス 

◎最近見つけたいいもの

こちらのドイツビールがかなり美味しく、

再度購入しに行ったのですが、売り切れ。

かなり売れているようです。

ヴァイツェンという白ビールで、

苦味よりもフルーティな飲みくちです。

カプツィーナ・ヴァイツェン

 

 

◎ウォール・ストリート・ジャーナルで学ぶ英単語

WSJメルマガを始めてから、5年経ちました。

この5年間でわかったことがあります。

読む上で知っておくべき単語さえわかれば、

大まかな内容はわかるということ。

備忘録の意味でも、調べた単語をサイト上にアップしています。

今後、メルマガとしてスピンアウトする予定にしています。

english.ryotarotakao.com/

 

◎Winecarte 簡単ワインの選び方

ワインカルテを作る時にいつも感じるのは、

ワインの情報を探すのが大変ということ。

公式サイト・通販サイトをいくつかあたって、

作っています。

wine.ryotarotakao.com/

 

編集後記

最近、ワインカルテの更新がほとんど出来ていません。

その理由は、ワインをほとんど飲んでいないから。

夏暑かったでしょう?ビールへの誘惑がかなり強くて、ワインはご無沙汰していました。

だいぶ涼しくなったので、そろそろワインを再開したいと思います。

冷蔵庫に眠った白ワイン、どうしようかな?

 

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今日も長い記事を読んでいただき、ありがとうございました。

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今回は私が恩返しします!

 

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