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【724号】アマゾンの公開したドローン配送、今後期待されるドローンビジネスとその課題

 空飛ぶドローン

by courtesy of Don McCullough

※アマゾンのドローン便ではありません。

 

 

◎本日のニュース

1)見出し 
Why Bezos’s Drone Is More Than a Joke

 

 

毎週火曜・土曜の18時、メルマガにて配信。

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2)要約

アマゾンがテレビ番組で公開した、ドローン便。無線操縦無人機(ドローン)を使って、アマゾンの倉庫から配送先まで商品を運ぶ配送方法だが、ドローンを使ったビジネスは、アマゾンに限ったものではない。

 

シリコンバレーのベンチャー企業・マターネットは、ドローンの交通システム構築を行っている。このシステムを使えば、道路網が未発達の発展途上国で、医薬品を配送できる。また、災害時の緊急物資の配送にも活用できる。また、ドローンの自動飛行システム構築を目指すエアウェアは、農作物の観察をドローンによって高頻度・高精度で行えるサービスを開発している。

 

ただし、これまでドローンは、監視や軍事と関連付けられることが多く、イメージが良くなかった。そのため、ドローンの商用利用に関する議論は、あまり行われなかった。

 

◎キーセンテンスとその翻訳

3)キーとなる英文

Even if it’s only smoke and mirrors, I’m hoping Mr. Bezos’s announcement will prompt a more rational discussion of the costs and benefits of robotic birds in the sky.

 

4)キーとなる英文の和訳

それが煙や模範にすぎないとしても、ベゾス氏の発表が、空飛ぶロボットの費用対効果に関する、より合理的な議論を促すことを、期待している。

 

5)気になる単語・表現

smoke

名詞

mirror

名詞

模範、手本

rational

形容詞

合理的な、道理にかなった

robotic

形容詞

ロボットの

 

◎記事から読み取った今日のヒント

6)ビジネスのヒント

アマゾンのドローン便は、日本のマスコミでも報じられたので、知っている人も多いかもしれません。簡単に言えば、ラジコンのような無人操縦飛行機が配送トラックの代わりとなり、アマゾン倉庫から利用者宅まで配達するというもの。アマゾンがドローン便を公開することにより、次のような効果が期待できるようです。

 

【アマゾンがドローン便公開によって得られる効果】

[1]    話題に上ることにより、クリスマス商戦での売上拡大

[2]    投資家へのIR効果

[3]    ベゾスCEOの大物イメージの向上

 

1について、クリスマス商戦真っ盛りの今にドローン便を公開することで、アマゾンに関する話題がそのまま売上増に直結します。今という時期を選んだことには、アマゾンのセンスの良さを感じます。

 

2について、ドローン便はまだ実験状態であり、すぐに利益に直結する計画ではありません。そのため、投資家が持ちがちな、投資はすぐに利益を生み出すという期待を防いでくれます。アマゾンは長期的視点でもって、投資を進めやすくなるわけです。

 

3について、すでにIT業界の大物というイメージのあるベゾスCEOですが、ドローン便の公開によって、そのイメージがさらに強まります。違法性や信ぴょう性・外聞(馬鹿げたことと言われること)により、サービス向上につながる可能性を諦めないという、経営者のイメージが植え付けられるわけです。経営者のイメージが向上すれば、株価上昇が期待でき、資金調達も容易になります。

 

このように、ドローン便の公開はアマゾンにとって効果をもたらすわけですが、アマゾン以外への効果も期待できます。今回の記事の著者は、この点に注目し、ドローンビジネスの将来に着目しています。

 

ドローン技術が向上すれば、通販での配送よりも、次のようなことが可能になるかもしれません。そして、実際、そのようなサービス提供を目指すベンチャー企業が存在しています。

 

【ドローン技術の向上により期待されるサービス】

[1]    道路網が未発達の発展途上国で、ドローンを使って医薬品を配送する→マターネット(Matternet)

[2]    災害時の緊急物資をドローンで配送する→マターネット

[3]    生産性向上のため、農作物を高頻度・高精度で観察する→エアウェア(Airware)

 

マターネット・エアウェアは、サービスを提供するベンチャー企業。その事業内容・ビジョンなどをまとめると、次のようになります。

 

【ドローンビジネスを計画するマターネット・エアウェア】

[マターネット]インターネットから着想したドローン交通システムの構築を目指す。ドローンを使えば、より早く、より省エネで、インフラの巨大投資をせずに、物資を配送できる。巨額投資が必要な固定電話ではなく、無線の携帯電話が先に普及した発展途上国で、携帯電話同様の普及を目指す。→低コストの配送システム

[エアウェア]ドローンの商用利用により自動飛行システムの構築を目指す。その技術を使って、農作物の画像を高頻度・高精度に送るサービスを提供する。→低コストの監視・観察システム

 

興味深いのは、マターネットがインターネットから着想して、ドローンによる二箇所移動を考えた点。インターネットは、サイトのサーバーにあるデータを、ルーターを介してPCに送るという仕組み。同様に、ドローンを使えば、任意の二箇所を中継点を介して移動できる。ルートを管理するソフトにより、衝突や荒れた天気を回避するだけでなく、自動でバッテリー交換まで行う。その結果、1ドルで4ポンド(約1.8kg)の荷物を25マイル(約40km)運ぶことができるという。

 

ただし、新たな技術であるゆえに、課題を抱えるのも事実。

 

【ドローンサービスを提供するベンチャー企業が抱える課題】

[マターネット]安全性・信用・費用面での課題

[マターネット]道路網が整った先進国や大都市での自動運転車との競合

[エアウェア]ドローンの商用利用に対する規制の厳しさ

 

ドローンが、軍事や監視と関連付けられるイメージの悪さゆえに、なかなか話題に上らなかったのも、課題が克服されない要因の一つ。それゆえ、厳しい規制が緩和されず、そのままにされているのです。アマゾンのドローン便公開により、ドローンへの関心が高まり、その規制が合理的に議論されれば、課題の克服が容易になるかもしれません。

 

そういう意味では、アマゾンのドローン便公開は、単にアマゾンのニュースにとどまらず、ドローンビジネスというイノベーション全体に関わることなのです。

 

Matternet 

Airware 

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《今回のヒントのまとめ》

1) アマゾンがこの時期にドローン便を公開したことにより、クリスマス商戦での売上増、投資家へのIR効果、CEOイメージの向上が期待できる。

2) ただし、それだけにとどまらず、これまでイメージの悪かったドローンを使ったビジネスが注目を浴びることになる。

3) ベンチャー企業のマターネットは、ドローンを使って、道路網が未発達の発展途上国で医薬品の配送や、被災地での救援物資の配送を計画している。

4) また、エアウェアは、ドローンを使った、農作物の高頻度・高精度の監視を行い、農業の生産性向上を目指す。

5) しかし、安全性・信用・費用面の課題や、先進国や大都市での自動運転車との競合、規制の厳しさなど、課題にも直面している。

6) アマゾンのドローン便公開により、ドローンへの関心が高まれば、ドローンの費用対効果に関する合理的な議論が行われるかもしれない。その結果、課題解決は容易になるだろう。

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7)おすすめ商品・サービス 

◎最近見つけたいいもの

またまたカルディの商品ですが、こちらのカットトマト缶は格別。

濃厚で、美味しいトマト系パスタが簡単にできます。

写真をお見せできないのが残念なほど。

まるで専門店のようなパスタソースが出来上がります。

ラ・プレッツィオーザ ダイストマト缶

 

◎ウォール・ストリート・ジャーナルで学ぶ英単語

WSJメルマガを始めてから、5年経ちました。

この5年間でわかったことがあります。

読む上で知っておくべき単語さえわかれば、

大まかな内容はわかるということ。

備忘録の意味でも、調べた単語をサイト上にアップしています。

今後、メルマガとしてスピンアウトする予定にしています。

english.ryotarotakao.com/

 

◎Winecarte 簡単ワインの選び方

ワインカルテを作る時にいつも感じるのは、

ワインの情報を探すのが大変ということ。

公式サイト・通販サイトをいくつかあたって、

作っています。

wine.ryotarotakao.com/

 

編集後記

アマゾンの映像を見ましたが、自分なら盗難やら事故を懸念して、利用しないと思います。

それよりも、マターネットやエアウェアの利用の方が、現実的ではないでしょうか。

クリスマス商戦での売上増だけを狙ってドローン便を公開したなら、その強かさに脱帽です。

 

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今日も長い記事を読んでいただき、ありがとうございました。

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今回は私が恩返しします!

 

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