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【726号】米モール運営企業が当日配送サービスを始める理由

アメリカの巨大モール

by courtesy of  cliff1066™

 

◎本日のニュース

1)見出し 
Startup Offers Same-Day Delivery at Shopping Malls

 

 

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2)要約

アメリカでモールをミニ配送センターとして利用する動きがある。具体的には、モールで買った商品やモールにテナントとして入る企業の通販サイトで買った商品を、モール内店舗から配送するというサービスである。モールは、実店舗というネット通販専業企業にはない強みを活かすことにより、当日配送が可能となる。

 

この動きは、実店舗型小売とネット通販型小売の主戦場が配送サービスであることを、物語っている。実際、実店舗・ネット専業とも、当日配送サービスに力を入れ、実店舗から配送するケースも増加している。

 

モール運営企業による当日配送サービスは有料で提供されるが、モール運営企業は、その収入よりもテナントの売上増に大きな期待を寄せている。

 

◎キーセンテンスとその翻訳

3)キーとなる英文

Four of the nation’s largest mall operators are turning their properties into mini-distribution centers for rapid delivery, meaning shoppers can ditch their bags and keep spending.

 

4)キーとなる英文の和訳

アメリカの大手モール運営企業のうち4社が、急速配送を可能とするミニ配送センターとして自社のモールを利用しようとしている。

これが意味するのは、買い物客が購入品から解放され、買い物を続けることができるということである。

 

5)気になる単語・表現

property

名詞

不動産;財産;性質

distribution

名詞

流通、販売網;配分;分布;配置

ditch

他動詞

~を見捨てる;~を置き去りにする;~から逃れる;水路

 

◎記事から読み取った今日のヒント

6)ビジネスのヒント

自社モールを使った配送サービスを始めるのは、ゼネラルグロースプロパティーズ社(General Growth Properties inc.)・マセリッチ社(Macerich Co.)・ウェストフィールドグループ(Westfield Group)・サイモンプロパティグループ社(Simon Property Group Inc.)の4社。具体的には、次のようなサービスを示します。

 

【大手モール運営企業4社が始める配送サービス】

[対モール買い物客]モール内テナント店舗で買った商品を当日配送

[対テナント通販サイトユーザー]モール内テナントの通販サイトで買った商品をモールから当日配送

 

このサービスは、デリブ社(Deliv Inc.)というベンチャー企業との提携で生まれました。デリブ社が、業務に余裕のある配送業者を活用し、モールから商品を引き取り、自宅まで届ける手配を行います。

 

大手モール運営企業がデリブ社と提携し、このような当日配送サービスを始めるのは、次のような目的・理由があるからです。

 

【モール運営企業が当日配送サービスを始める目的・理由】

[1]      客単価を引き上げるため

[2]      ネット小売専業企業から顧客を守るため

 

1は、主にモール買い物客を念頭に置いた目的です。モールには多くのテナント店舗があるため、ついつい購入品が増えるもの。その増えた購入品を持ちまわる苦労から解放されれば、買い物をしやすくなり、より多くの買い物をしてくれる可能性が高まります。買い物を続けたいけど持ちまわるのが面倒なモール利用者に、当日配送サービスを提供すれば、客単価の増加が期待できるのです。

 

当日配送サービスは有料で提供されるのですが、実際モール運営業者は、それ自体の収入よりもテナントの売上増による手数料収入の増加を期待しています。

 

2は、配送サービスの拡充を続けるネット通販専業企業へ対抗するためです。例えば、アマゾン・ドット・コム社は、食料品の当日配送サービスをサンフランシスコで始めました。今後、このサービスを他の都市へも広げる可能性は高く、ネット通販の利便性は急速に高まります。また、グーグルやイーベイは、メーシーズやターゲットのような実店舗に宅配業者を派遣し、ユーザーの代わりの商品を購入し、自宅に届けるサービスを実施しています。1時間以内の宅配で一回5ドル。ネット専業企業が、実店舗小売を侵食していることがわかります。

 

配送サービスを拡充するネット専業への対抗は、モール運営企業に留まらず、その他実店舗型小売企業でも行われています。

 

【配送サービス拡充に動く実店舗型小売企業】

[ホームデポ社(ホームセンター)]今後2年間で、当日配送実施のために、3億ドル以上を投資予定

[ウォルマート・ストアーズ社(ディスカウント)・オフィス・デポ社(文房具)]実店舗からの配送を実施

 

これら配送サービス拡充に動く実店舗型小売企業に、モール運営企業は習ったとも捉えることができます。

 

ただし、課題がないわけではありません。

 

【モール運営企業による当日配送サービスが直面する課題】

[1]      モールが配送拠点に成り下がる可能性

[2]      有料サービスを受け入れられない可能性

 

1について、利便性から言えば、実店舗よりもネット通販の方が勝るのは確かであり、ネット通販ユーザーの増加により、モールがネット通販の配送センターに成り下がる可能性があります。商品を手に取って確かめたい人は、モール内店舗に行けばいいので、モール内店舗のショールーム化も進む恐れがあります。モールでの売上がネット通販にシフトすれば、売上手数料に依存するモール運営企業は収益減に直面します。

 

2は、クリスマス商戦では当日配送サービスが無料で提供されており、有料でも利用したい人がどれだけいるかは不明です。高級百貨店ならまだしも、ある程度の割安感が求められるモールで、有料の配送代行サービスを利用する来店客は、かなり少数である可能性があるのです。その代金の手数料を収入とするデリブ社も、モールからの配送サービスだけで存続できる保証もありません。

 

このような課題があるのですが、消費者宅に近い実店舗は、ネット専業にはない強みであり、活かさない手はありません。実店舗が、買い物の楽しさを提供する場所と同時に、急速配送を可能にする配送拠点としても活用されるのは、今後のトレンドのような気がします。

 

Deliv

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《今回のヒントのまとめ》

1)  モール運営企業が始める当日配送サービスは、モール利用者とモール内テナントのネット通販ユーザーをターゲットにしたものである。

2)  モール利用者に対するサービスは、購入品を持ち廻ることが不要になることで、客単価引き上げを目指す。

3)  通販サイトユーザーに対するサービスでは、配送サービス拡充に力を入れるネット専業に対抗し、より消費者宅に近い実店舗という強みを活用し、ネット専業への顧客流出を防ぐ。

4)  しかし、ネット通販ユーザーへの利便性を拡充すれば、モールが配送拠点に格下げされ、ショールーム化は避けられない。さらに、割安感も求めるモール利用者の中で、有料の当日配送サービスの利用する人がどれだけいるかも、疑問である。

5)  そうは言っても、ネット専業にはない実店舗という強みを活かさない手はないわけで、今後実店舗は、買い物ができる楽しい場所と配送拠点としての場所の役割を果たすのではないか。

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WSJメルマガを始めてから、5年経ちました。

この5年間でわかったことがあります。

読む上で知っておくべき単語さえわかれば、

大まかな内容はわかるということ。

備忘録の意味でも、調べた単語をサイト上にアップしています。

今後、メルマガとしてスピンアウトする予定にしています。

english.ryotarotakao.com/

 

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ワインカルテを作る時にいつも感じるのは、

ワインの情報を探すのが大変ということ。

公式サイト・通販サイトをいくつかあたって、

作っています。

wine.ryotarotakao.com/

 

編集後記

喉の痛みは、だいぶましになりましたが、まだ完治というには程遠い状態。

そこで買ったのは、大根しょうがのど飴。

どんな味がするかワクワクでしたが、意外に問題なしでした。

100均で買ったので期待はあまりしてなかったのですが。

大阪屋 大根しょうがのど飴

 

 

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今日も長い記事を読んでいただき、ありがとうございました。

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