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【728号】高級百貨店にとって、クリスマス商戦はクレームの宝庫?

クリスマスのサックス・フィフス・アベニュー

by courtesy of Adrienne Michetti

 

◎本日のニュース

1)見出し 
Shopping Dissatisfaction Is on the Rise But Savvy Complaints Get Attention

 

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2)要約

クリスマス商戦は、小売店が一番売上を稼ぐ時期ではあるが、一方で一番クレームが増える時期でもある。特に、スマートフォンの普及などにより購入方法が多様化すると、時間にうるさい消費者は、小さなミスにも過剰反応をする。素早く解決することが、クレームの影響を最小限に抑える秘訣である。

 

クレームを売上拡大につなげる小売企業もある。高級・中間価格帯の百貨店では、顧客サービスを最も効果の高い集客手段と考える。最も避けなければならないことは、クレームにより顧客を失うこと。クレーム対応を的確に行うことで、ディスカウントストアやネット通販に対抗している。

 

◎キーセンンスとその翻訳

3)キーとなる英文

It’s crunch time for gift buyers, the week when stores and websites see a surge in sales, and with it comes more potential for problems and frustrations.

 

4)キーとなる英文の和訳

それは、贈り物の買物客にとっては瀬戸際時である。

小売店や通販サイトは売上が急増する一週間であり、一方でクレームや欲求不満がより起こりやすい時でもある。

 

5)気になる単語・表現

crunch time

名詞

瀬戸際時;ピンチ

surge

名詞

急上昇;(群衆の)殺到;大波

potential

形容詞

起こりうる;可能な、発展の可能性がある

frustration

名詞

欲求不満;要求阻止

 

◎記事から読み取った今日のヒント

6)ビジネスのヒント

感謝祭からクリスマスまでの時期は、小売業界ではクリスマス商戦にあたり、売上が一年で一番増える時期になります。その一方で、クレームも一番増加する時期なのですが、クレームは特に最近増えているようです。その要因は、

 

スマホの普及によるネット通販利用の拡大

 

です。小売店とは違い、ネット通販は決済してから商品を受け取るまで時間のインターバルが発生します。その分、配送トラブルが起こる可能性が高まるのです。

 

クレームに関して、アリゾナ州立大学が今秋行った興味深いデータがあります。このデータを見ると、クレームの増加傾向とその売上への影響度を理解することができます。

 

【クレーム増加についてのデータ】

[1]    過去1年間の買い物で商品やサービスに不満を持った人:45%→50%

[2]    その不満に「怒った」「とても怒った」人:60%→68%

※2011年調査結果→2013年調査結果

 

クレーム自体が増加するだけでなく、より怒りを引き起こすクレームが増えたことがわかります。

 

クレーム増加に対し、高級百貨店や中間価格帯の百貨店は、逆に集客手段と考え、積極的に活用しています。というのも、価格だけではディスカウントストアやネット通販には敵わず、それらの低価格ショップに顧客を奪われないようにするには、顧客サービスをより充実させる必要があるからです。増加傾向にあるクレームに適切に対応できれば、低価格店との違いを消費者に印象付けることができ、顧客維持・拡大が可能になると考えています。

 

高級百貨店でのクレーム事例とその対応をまとめると、次のようになります。

 

【高級百貨店のクレーム最新事例とその対応】

[顧客にとって最善の方法を取る]プレゼントが配送手配間違えにより届かないことが判明→配達地の近くの小売店で購入し、無事届けられることに

[顧客はいつも正しい]通販サイトで何度やっても決済が完了しない→住所が間違っており、自動で取り消しされていたことが要因だが、注文客がその間違いに気づかないシステムに問題があるとする

[無理な要求に対しては代替案を提示]実店舗で通販サイトでの割引に関して間違った情報を伝える→間違った割引は実施せず、次回購入時に使えるギフトカードを渡す

[オムニチャネルトラブル]通販サイトで注文したドレスが最寄り店舗から届くが、いかにも一度利用されたようだった→実店舗の売場に置かれていたか、一度返品された商品であったことが要因であり、代替品を送ることに

 

クレーム対応で一番重視されることは、

 

いかに顧客の不満を和らげるか

 

という点です。その背景には、次のような考え方があります。

 

【顧客の不満を和らげる考え方】

[1]    顧客は常に正しい

[2]    顧客が満足するための最善の策を採る

 

顧客の不満を和らげる方法として、次のような手段が取られています。

 

【顧客の不満を和らげる方法】

[1]    スピード対応

[2]    顧客満足を最優先する対応内容

[3]    顧客がクレームを伝えやすい手段

 

1について、時間を短縮したい消費者が増えると、早く対応するかしないかで、そのクレームの影響度が変わります。早く対応しないと、苦情がSNS上で拡散されることになり、将来の売上に大きな悪影響を及ぼしかねません。小さなクレームに早く対応するために、高級百貨店のサックスでは、クリスマス商戦の全レシートに、ゼネラルマネジャー(GM)のメールアドレスが記載されているようです。小さなクレームが上位責任者に直接届くようになれば、素早い対応ができるからです。

 

2について、クレーム対応については、上記クレーム最新事例を見れば、よくわかります。配送手配ミスのために小売価格で商品を調達したように、顧客の満足を優先すれば、利益が損なわれます。しかし、収益を圧迫させても顧客優先の対応をすることで、将来の売上につながるのです。無理な要求に対しても、ノーとすぐに回答するのではなく、受け入れ可能な代替案を提案することで、顧客の不満を最小化することができます。

 

3について、実店舗におけるクレーム対応の大部分は、電話で解決されます。そこで、高級百貨店のハドソンズ・ベイでは、臨時雇用者も含め新規採用者は2週間のトレーニングを受け、不満を持った顧客の怒りを和らげる方法を取得します。

 

クレーム対応では、顧客の不満を和らげるという直近の課題だけでなく、構造上の課題を解決するために、顧客ごとの購入履歴・苦情履歴を記録する企業が増えています。これにより、クレームが起こる根本の要因を見つけ出し、将来起こりうる潜在的なクレームを回避できるようになります。例えば、先述のレシートにGMのメールアドレスを記載する事例も、クレームを担当者ではなく全社で把握して活用しようという意図があります。

 

クレーム対応というと、マイナスを挽回するという後ろ向きのイメージがありますが、その対応方法によって、不満を持った顧客のロイヤリティを高めることが可能です。さらに、クレームを収集・分析することで、潜在的なクレームを回避することができ、不満の発生自体を抑制することもできます。そういう意味では、クレームが最も発生しやすいクリスマス商戦は、顧客サービスで勝負する小売企業にとって、一年で最も重要な時期なのかもしれません。

 

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《今回のヒントのまとめ》

1) 一年で一番売上が増えるクリスマス商戦は、クレームが最も増える時期でもある。

2) 高級・中間価格帯の百貨店は、低価格店に対抗するために、クレーム対応に力を入れている。

3) クレーム対応で一番重視されるのは、顧客の不満をいかに和らげるかということ。

4) その背景には、「顧客は常に正しい」「顧客満足のための最善の策を採る」という考えがあり、対応スピード・対応内容・対応手段が工夫されている。

5) また、クレームを収集・分析することで、潜在的なクレームを回避し、将来の不満発生を抑制することも可能となる。

6) 顧客サービスで勝負する小売企業にとって、クレームが最も増えるクリスマス商戦は、クレームを通じてロイヤリティを高める最も重要な時期とも言える。

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7)おすすめ商品・サービス 

◎最近見つけたいいもの

iPod touchを購入する予定が、コストを抑えたいために結局スマホにしました。

中古だったので少し不安ありましたが、このCPUの速さにはびっくり。

まぁ、ここ2年ほど携帯端末を新規購入していなかったので、浦島太郎状態だったのかもしれませんが。

難点はバッテリー容量の小ささですが、メインが音楽(たまにネット検索)用途なら、十分です。

1年ほど前の端末で人気がない機種なので、安く手に入るのがいいですね。

docomo NEXT series Optimus G L-01E

 

◎ウォール・ストリート・ジャーナルで学ぶ英単語

WSJメルマガを始めてから、5年経ちました。

この5年間でわかったことがあります。

読む上で知っておくべき単語さえわかれば、

大まかな内容はわかるということ。

備忘録の意味でも、調べた単語をサイト上にアップしています。

今後、メルマガとしてスピンアウトする予定にしています。

english.ryotarotakao.com/

 

◎Winecarte 簡単ワインの選び方

ワインカルテを作る時にいつも感じるのは、

ワインの情報を探すのが大変ということ。

公式サイト・通販サイトをいくつかあたって、

作っています。

wine.ryotarotakao.com/

 

編集後記

今年のクリスマスケーキは、小ささを優先しヴィタメールにしました。

美味しいことは間違いないでしょう。

コスパは悪いですが、お腹いっぱい食べるものでもないですし。

 

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今日も長い記事を読んでいただき、ありがとうございました。

感謝・感謝・感謝です!

 

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私もごく少ない部数の時に、

いろんなメルマガ執筆者様に助けていただきましたので、

今回は私が恩返しします

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