【731号】中小企業の景況感とリスク、日米比較。
by courtesy of International Maize and…
◎本日のニュース
1)見出し
Small Businesses Anticipate Breakout Year Ahead
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2)要約
アメリカ中小企業の景況感が、大きく改善している。これまでの中小企業は、住宅市場の回復が続く中でも、慎重姿勢を崩さなかった。しかし、今では、個人消費の拡大・失業率の改善による経済成長率の拡大が、中小企業の収益上昇につながり、設備投資・雇用の拡大をもたらしている。
ただし、問題がないわけではない。最大の問題として、売上減少よりも、税制や規制を挙げる中小企業オーナーは多い。また、景況感を冷やしかねない財政協議の難航や、コストアップ要因となるオバマケアの施行も、中小企業にとってハードルとなる。
◎キーセンンスとその翻訳
3)キーとなる英文
After several false starts in the dragged out U.S. economic recovery, one might expect America’s small-business owners to be wary. Yet many, such as Mr. Brown, expect 2014 to be a breakout year, one that finally puts the worst of the downturn behind them.
4)キーとなる英文の和訳
緩慢なアメリカ経済の回復の中で、見かけ上住宅着工数が改善しても、アメリカの中小企業オーナーは慎重なままだと思われてきた。
しかし、ブラウン氏のように、多くの経営者が、2014年は収益が急拡大し、景気後退の最悪期がついに終わると、期待している。
5)気になる単語・表現
false |
形容詞 |
本物ではない、見かけ上の |
starts |
名詞 |
全国住宅着工件数 |
drag |
他動詞 |
~を引きずる、~をだらだれと長引かせる |
wary |
形容詞 |
慎重な、用心深い |
breakout |
名詞 |
急上昇 |
put A behind one |
他動詞句 |
Aを忘れようとする |
downturn |
名詞 |
(景気・物価などの)下落、沈滞 |
◎記事から読み取った今日のヒント
6)ビジネスのヒント
アメリカ中小企業の景況感が、拡大しているようです。中小企業を対象にした景況感調査結果は、以下のようになります。
【WSJ・ビステージインターナショナル(Vistage International)社による中小企業景況感調査結果】
[13年の景気全体]景気が好転したと回答したのは53%。12年は36%。
[14年の景気全体]景気好転を予想するのは38%。12年は27%。
[14年売上]3/.4が拡大を予測。
[景況感指数]108.4で過去18ヶ月で最高
※ 12月実施。対象は年間売上2000万ドル未満で従業員500人未満の中小企業オーナー937人。
実際の中小企業事例をまとめると、次のようになります。
【景況感が急回復する中小企業】
[建設業]サンノゼ(カリフォルニア州)の建設会社。2013年の売上は、前年の1000万ドルから1200万ドルに20%増加。13年に、20万ドルの設備投資、雇用数を50人から100人に倍増。2014年は、さらに雇用数を拡大予定。
[個人向けサービス業]従業員数65人の老後計画サービス会社。13年の売上は、前年より50万ドル増えて800万ドルに。(約6.7%増加)
中小企業の景況感が急回復したのは、景気回復が中小企業に及んだからの他なりません。
【中小企業に及ぶアメリカ景気回復】
[経済全般]第三四半期の成長率は4.1%に。個人消費の拡大が牽引。
[雇用環境]11月の失業率は、過去5年で最低値に。
雇用環境の好転により、将来に対する不安が少なくなった消費者が、財布の紐を緩めるようになり、その消費拡大が中小企業にも及んだことになります。
このように、14年も売上拡大を見込む中小企業が多い中でも、リスクがないわけではありません。
【中小企業が懸念する2014年のリスク】
[1] 与野党の財政協議難航の再来
[2] オバマケアの施行
1は、暫定予算は決定したものの、財政赤字削減を進める協議はまだ終わっていません。昨年同様にこの協議が難航すれば、政府機関が再び閉鎖され、景気を冷やす恐れがあります。また、2の健康保険法が施行されれば、中小企業にとってコストアップとなり、収益を圧迫することになります。
実際、中小企業を対象にした調査にて、次のような結果が出ています。
【全国独立企業協会(the National Federation of Independent Business)の調査結果】
[1] 来年最大の課題として、売上減少よりも税制や規制を上位に挙げるオーナーが増加。
[2] 景況感は向上したが、2007年以前と比べればまだ悪い。
※ワシントンのロビー団体。11月実施の調査結果。
そこで、日本の中小企業の景況感・リスクと比較すれば、その相違点が明確となります。
【日米の中書企業景況感・リスク比較】
[景況感]アメリカは中小企業にも波及。日本ではアベノミクスの恩恵は大企業中心。
[リスク]財政・税制のリスクは共通。日本では財政赤字削減がまだ進まず、消費増税による消費減退リスクあり。日本だけのリスクとして、円安によるエネルギーなどのコストアップ。
中小企業の景況感を見れば、拡大が進むアメリカとまだ恩恵が及ばない日本の違いは明白です。日本の場合は、アベノミクスの効果は大企業中心であり、中小企業でも輸出関連・建設関連の一部のみに留まっています。一方のアメリカは、日本同様建設関連の景況感の拡大が目立つものの、小売関連にもその恩恵は及んでいます。
リスク面では、日米の共通点が見られます。それは、政治・規制面でのリスクです。アメリカでは財政協議の難航が懸念される一方、日本では財政赤字削減にはまだ到達せず、拡大が止まらない状態。長期金利上昇時には、財政問題は日本の景気全体に悪影響を及ぼし、その影響は中小企業にも及ぶことが懸念されます。また、消費税増税は、消費全体を冷やす恐れがあり、これも中小企業にとって大きなリスク。
これに加え、日本独自のリスクとして、円安のリスクがさらに拡大するかもしれません。円安により一番影響を受けるのが、エネルギー価格の上昇。個人のみならず企業にとっても、大きなコストアップ要因です。さらに、原材料を輸入する企業が多い中で、原材料上昇として、企業にとって負担増となります。一方のアメリカは、シェール革命・ドル高により、コスト削減の恩恵を受けることができます。
金融緩和という金融政策でアメリカの後追いをする日本ですが、マイナス面に焦点を当てれば、アメリカ以上に悪影響を受けかねません。株価上昇に浮かれる今こそ、このマイナス面を考える時かもしれません。
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《今回のヒントのまとめ》
1) アメリカの中小企業景況感は、急回復。その要因は、個人消費の拡大・雇用環境の回復が、中小企業にも及んでいるからである。
2) そのため、収益を拡大するだけでなく、雇用・設備投資を拡大する中小企業が増えている。
3) ただし、リスクとして政治・規制が挙げられる。財政協議の難航やオバマケア施行は、個人消費を冷やすとともに、中小企業にとってコストアップ要因となる。
4) 日本の中小企業景況感と比較すれば、アメリカは景気回復が中小企業にも及ぶ一方、日本は輸出・建設関連のみで、大企業中心の景気回復である。
5) リスク面を比較すれば、財政・税制のリスクは共通であるが、日本のみ円安によるコストアップという課題がある。
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7)おすすめ商品・サービス
◎最近見つけたいいもの
iPod touchを購入する予定が、コストを抑えたいために結局スマホにしました。
中古だったので少し不安ありましたが、このCPUの速さにはびっくり。
まぁ、ここ2年ほど携帯端末を新規購入していなかったので、浦島太郎状態だったのかもしれませんが。
難点はバッテリー容量の小ささですが、メインが音楽(たまにネット検索)用途なら、十分です。
1年ほど前の端末で人気がない機種なので、安く手に入るのがいいですね。
docomo NEXT series Optimus G L-01E
◎ウォール・ストリート・ジャーナルで学ぶ英単語
WSJメルマガを始めてから、5年経ちました。
この5年間でわかったことがあります。
読む上で知っておくべき単語さえわかれば、
大まかな内容はわかるということ。
備忘録の意味でも、調べた単語をサイト上にアップしています。
今後、メルマガとしてスピンアウトする予定にしています。
◎Winecarte 簡単ワインの選び方
ワインカルテを作る時にいつも感じるのは、
ワインの情報を探すのが大変ということ。
公式サイト・通販サイトをいくつかあたって、
作っています。
編集後記
新年が明けました。
今年もよろしくお願いいたします。
世間が浮かれる年始こそ、仕事をするべき時と考える、あまのじゃくな私でした。
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今日も長い記事を読んでいただき、ありがとうございました。
感謝・感謝・感謝です!
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私もごく少ない部数の時に、
いろんなメルマガ執筆者様に助けていただきましたので、
今回は私が恩返しします!
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