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【741号】1月ウォルマート全米売上悪化の影響から考えた、消費増税がもたらす飲食業への影響とは?

ファミリーダラーの店舗by courtesy of Random Retail

 

◎本日のニュース

1)見出し 
Wal-Mart Warns About Holiday Earnings

 

 

 

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2)要約

ウォルマート・ストアーズ社は、直近3ヶ月の全米売上が昨年を下回る可能性があると発表した。クリスマス商戦はプラスで終わっただけに、その要因は1月の売上悪化である。

 

1月に売上が悪化した要因は、低所得者向けの消費補助策フードスタンプの削減と悪天候である。特に、低所得者を顧客とするウォルマートは、フードスタンプ縮小の影響をもろに受けた。寒波の影響で客足が遠のいたことも、売上悪化につながった。

 

1月の売れ行きが悪くなったのは、ウォルマートだけではない。量販店のベストバイやシアーズだけでなく、専門店のルルレモンやアパレルのアバクロも苦戦。値引き競争でなんとか売上を稼いだクリスマス商戦が終わっても、小売業界は回復の基調どころか、さらに悪化しているようだ。

 

◎キーセンンスとその翻訳

3)キーとなる英文

After a tough holiday season, the New Year doesn’t appear to be giving retailers any relief.

 

4)キーとなる英文の和訳

厳しいクリスマス商戦が明けて新年になっても、小売業界には安堵できる余裕はないようだ。

 

5)気になる単語・表現

tough

形容詞

骨の折れる、不運な

appear to V

自動詞句

~のように見える、思える

relief

名詞

安堵、ほっとさせるもの

 

◎記事から読み取った今日のヒント

6)ビジネスのヒント

アメリカのクリスマス商戦は、値引き合戦に明け暮れ、業界全体では売上は伸びたものの、利益を削る消耗戦になったようです。従来ならば、1月は11月・12月のクリスマス商戦で売れ残った在庫一層するため、大きな割引をする月。よって1月は、利益率は下がるものの、売上自体は稼げる月なのです。しかし、今年は例年とは様相が異なります。

 

量販店での消費行動を探るショッパーズトラックによると、1月の小売売上は2.7%増を予想しています。数字は前年比プラスですが、伸び率は過去3年間で最低。ちなみに、2013年は4%増、2012年は4.7%増であり、年々1月の売上増加率が鈍化していることがわかります。その要因は、クリスマス商戦での値引き率が大きくなっているため、従来ならば1月に起こっていた処分販売による売上が、12月に前倒ししているからです。

 

【1月の売上増加率が年々鈍化している要因】

クリスマス商戦での値引きが年々拡大し、これまで1月に起こっていた特売消費が、前倒しされる傾向にあるから

 

これに加え、今年は次のような外部環境の変化により、1月の小売売上が低迷しました。

 

【1月の小売売上が低迷した要因】

[1]    低所得者向けの食費補助策のフードスタンプの縮小

[2]    寒波による悪天候

 

1よる大きな影響を受けるのは、低所得者を主要顧客とするウォルマートやファミリーダラーストアなどの、ディスカウンター。2は、小売業界全体の客数減をもたらし、売上減少を招きます。

記事で取り上げられている1月売上低迷事例をまとめると、次のようになります。

 

【1月売上低迷に悩むアメリカ小売業】

[ディスカウンター]ウォルマート・ストアーズ→クリスマス商戦では全米売上は増加ずるも、1月を加えた直近3ヶ月では若干減少。従来は前年並みを予想していた。第四四半期・通期の純利益は、11月4日発表の予想の下位レンジよりも下回ると警告。

[専門店]ルルレモン→年末は比較的良かったが、1月は失速。需要減少と天候悪化が要因。

[アパレル]アバクロンビーフィッチ→1月の既存店売上高はプラスだが、前月よりも鈍化。

[百貨店]メーシーズ→1月初めに売上予想を下方修正。需要が想定よりも弱いので。

[家電量販店]ベストバイ→クリスマス商戦の全米既存店売上は0.9%減。ウォルマートや他競合店との価格競争で、値引きを拡大したが、売上は伸びず。

[GMS]シアーズ→クリスマス商戦の売上も悪い

[1ドルショップ]ファミリダラー→クリスマス商戦の売上も悪い

[ネット通販]アマゾン・ドット・コム→第四四半期の売上増加率が想定よりも鈍化。今四半期の売上見込も悲観的に。

 

これらを二つのグループに分類すると、クリスマス商戦は売上が増加したグループと、クリスマス商戦から苦戦するグループに分けることができます。後者は、量販店やディスカウンターが多いのが特徴。フードスタンプ縮小以前から、低所得者の消費が弱いことを証明しています。一方で、雇用環境やGDPを見る限り、アメリカ経済の回復が続いています。株高による資産効果で消費を拡大させる高所得者と、支出を切り詰める低所得者という、消費に二極化が起こっている模様です。

 

今回取り上げたのは実店舗型小売店の売上悪化ですが、この影響は小売業界以外にも波及しています。それは、ファストフード業界。スターバックスは、全米の既存店売上が想定に届かず、マクドナルドも既存店売上が低迷しています。この要因は、消費者が実店舗への来店を控えたからに他なりません。特に、モールやSC(ショッピングセンター)の客数は減少しており、これがカフェの利用機会縮小を招いています。

 

日本では、消費増税後、消費が一時的に減退すると予想されています。可処分所得の減少という意味では、消費増税もフードスタンプ縮小と同じ。アメリカと同じように、消費が縮小すれば、店舗への来店機会も縮小し、カフェなどの飲食業にも少なからず影響が出ます。駆け込み需要が発生しない飲食業だけに、消費縮小の影響は、小売業よりも大きくなる恐れがあります。

 

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《今回のヒントのまとめ》

(1) アメリカ小売業の1月の売上が低迷した要因は、クリスマス商戦の値引き合戦で1月の消費が前倒しされたこと、フードスタンプ縮小による低所得者の消費減少、悪天候による来店減である。

(2) 特に、低所得者を主要顧客とする量販店は、クリスマス商戦から苦戦していた。

(3) 店舗への来店が減ると、買い物途中で利用されるファストフードの売上も減ることになる。

(4) 可処分所得の減少という意味では、フードスタンプ縮小も消費増税も同じ効果を持つので、日本でも消費減少の影響が、ファストフードなど飲食業界に及ぶ恐れがある。

(5) 特に、飲食業には駆け込み需要が起こらないので、売上減の影響は小売業よりも大きくなる。

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7)おすすめ商品・サービス 

◎最近見つけたいいもの

以前使っていたワインストッパーが壊れたので、新調しました。

お店でも利用されているバキュバン。

まだこの実力を実感しませんが、1週間経過しても、美味しいサンテミリオンを楽しめました。

 

 

◎ウォール・ストリート・ジャーナルで学ぶ英単語

WSJメルマガを始めてから、5年経ちました。

この5年間でわかったことがあります。

読む上で知っておくべき単語さえわかれば、

大まかな内容はわかるということ。

備忘録の意味でも、調べた単語をサイト上にアップしています。

今後、メルマガとしてスピンアウトする予定にしています。

english.ryotarotakao.com/

 

◎Winecarte 簡単ワインの選び方

ワインカルテを作る時にいつも感じるのは、

ワインの情報を探すのが大変ということ。

公式サイト・通販サイトをいくつかあたって、

作っています。

wine.ryotarotakao.com/

 

編集後記

株価が大きく下げていますが、消費増税までに回復しないと、増税後の消費縮小期間が長引く恐れがあります。

マスコミが報じるほど、今回の消費増税による影響は小さくないかもしれません。

 

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今日も長い記事を読んでいただき、ありがとうございました。

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