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【745号】サムスンのギャラクシー売場拡充からわかる、スマホ時代のブランド力強化方法とは?

サムスンギャラクシーノート3

by courtesy of John Karakatsanis

 

◎本日のニュース

1)見出し 
Samsung Builds Retail Clout in Europe, North America

 

 

 

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2)要約

サムスンは、世界最大のスマホメーカーながら、新興企業との価格競争の激化とスマホの成長鈍化に直面している。その解決策として行うのが、自社ブランドの独自売場設置。特に、巨大市場でありながらアップルが強い欧米にて、独自売場設置を早急に進め、シェア拡大を目指す。

 

サムスンが独自売場設置に急ぐのは、アジアでの成功体験があるからである。ソウルはもちろん、中国本土や台湾・香港にて独自売場を設置することで、売上を拡大してきた。

 

ただし、小売進出で先を行くアップルとは、やり方が異なる。アップルが、売場デザイン・運営を自社で行うのに対し、サムスンは提携企業に委託する。

 

◎キーセンンスとその翻訳

3)キーとなる英文

Now, faced with a horde of cheap, new rivals and the prospect of slowing growth, it is trying to increase its clout among consumers by expanding its retail presence in two of its largest markets—Europe and North America.

 

4)キーとなる英文の和訳

現在、新興企業が作る多くの格安競合品と成長鈍化の見込みに直面しているので、消費者の中での影響力を拡大するために、2つの巨大市場の小売店にてその存在感を高めようとしている。

その巨大市場とは、欧州と北米である。

 

5)気になる単語・表現

horde

名詞

(騒々しい人などの)群れ;(動物などの)大群

prospect

名詞

見込み、見通し;期待

clout

名詞

(政治的)勢力、影響(力);コツンとたたくこと

 

◎記事から読み取った今日のヒント

6)ビジネスのヒント

サムスンが独自ブランド売場の拡充を急ぐのは、それだけ自社ブランドであるギャラクシーの売上が思ったほど伸びていないからに他なりません。その要因は、スマホ市場で起こる価格競争の激化と成長鈍化です。価格競争は、中国のシャオミ(小米)を代表とする新興企業が販売する格安機種の増加によって、激化しました。決して、アップルが仕掛けているのではありません。成長鈍化は、スマホユーザーの急増の反動が要因であり、また新興国の景気悪化による売上鈍化も影響しています。つまり、スマホ市場では、単価の下落と客数増の鈍化が同時に起こっているのです。一見儲かりそうな市場のように思えますが、実は収益悪化に悩まされている市場なのです。

 

そこでサムスンが目指したのは、ブランド力の強化。そのための施策が、自社ブランド売場の拡充です。ブランド力の強化を目指すのは、売上数量の急増が見込めない以上、単価引き上げでしか売上拡大が見込めないと判断したからでしょう。また、新興企業が販売する格安スマホとがっぷり価格競争を行っても、利益率の低下だけでなく、販売数量がさほど伸びないので、利益額さえも減少しかねません。旨味のない競争なので、サムスンは新興企業との価格競争を回避するのです。

 

サムスン同様独自売場を持つのは、アップル。ただし、そのやり方には大きな違いがあります。その相違点をまとめると、次のようになります。

 

【独自売場を持つサムスンとアップルの違い】

[サムスン]独自店舗(欧州)と量販店の中での独自売場(北米)という2つのパターン。店舗運営は提携企業に委託。

[アップル]独自店舗のみ展開。店舗デザイン・運営とも自社で実施。

 

サムスンが運営を外部に委託するのは、元々家電メーカーであり、量販店や携帯キャリアへの卸をメインに行ってきたからでしょう。一方のアップルは、元々パソコンメーカーであり、携帯電話参入以前から販売店を限定してきました。その進化系が、アップルストアという独自店舗の出店。出自の違いが、その販売手法の違いを生み出していると言えます。

 

ただ、サムスンがブランド力強化のために、広告ではなく独自売場拡充を選んだことには、注目に値します。その理由は、広告によるブランド浸透効果が減少したからに他ならず、その背景にスマホの普及があるのではないでしょうか。スマホの利用時間が増えれば増えるほど、スマホ以外に目が触れる時間は少なくなります。また、スマホの画面は小さいので、PCよりも広告に触れる時間は少なくなります。つまり、スマホを使う人が増えれば増えるほど、広告を見る時間は少なくなり、広告効果は小さくなるのです。一方、実店舗の売場は、来店さえしてくれれば、否が応でも目に入ります。さらに、機種を実際に手に取ったり、店員とのコミュニケーションを通じて、商品やブランドとの距離が短くなります。その結果、ブランドへの好感度がアップするだけでなく、実際の販売につながるのです。

 

スマホの売上拡大を目指したサムスンが、スマホユーザーの拡大により広告効果が縮小したので、より効果が見込める実店舗での露出拡大を急ぐことは、パラドックスとも言えるのではないでしょうか。スマホ時代だからこそ、実店舗が見直されるのかもしれません。

 

 

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《今回のヒントのまとめ》

(1) サムスンが自社ブランド売場拡大を急ぐのは、新興企業による格安機種との価格競争の激化とスマホ市場の成長鈍化に直面しているからである。

(2) 単価下落と販売増の鈍化が同時に起こっているので、サムスンは単価引き上げによる売上拡大を目指す。高くても売れるには、ブランド力の強化が必要であり、そのために自社ブランドの売場を広げる。

(3) 特に、巨大市場である欧州と北米で売場拡充を行い、欧州では自社ブランド店舗を、北米では量販店での自社ブランド売場を設置する。

(4) 広告ではなく実店舗での露出拡大を目指すのは、画面の小さなスマホの利用時間が増えるに従い、広告効果が薄れてきたからではないか。

(5) スマホの普及が進むほど、否が応でも目に入る実店舗での露出が重要になるのではないか。

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7)おすすめ商品・サービス 

◎最近見つけたいいもの

ついにノートパソコンを新調しました。

ヤフオクで中古にしようか迷ったのですが、5年利用できれば毎月2000円程度で済むので、新品にしました。

それにしても、OSのサポートによりPCを強制的に買い換えなければならないのは、腑に落ちないですね。

かと言って、OSが無料でアップグレードできるマックでは不便ですし。

TOSHIBA dynabook kira V634 K274

 

◎ウォール・ストリート・ジャーナルで学ぶ英単語

WSJメルマガを始めてから、5年経ちました。

この5年間でわかったことがあります。

読む上で知っておくべき単語さえわかれば、

大まかな内容はわかるということ。

備忘録の意味でも、調べた単語をサイト上にアップしています。

今後、メルマガとしてスピンアウトする予定にしています。

english.ryotarotakao.com/

 

◎Winecarte 簡単ワインの選び方

ワインカルテを作る時にいつも感じるのは、

ワインの情報を探すのが大変ということ。

公式サイト・通販サイトをいくつかあたって、

作っています。

wine.ryotarotakao.com/

 

編集後記

ギャラクシーは初代タブを利用していました。

今でも動きますが、かなり遅いですね。

ちなみに、そろそろ4年目に突入します。

 

高尾亮太朗のツイッター⇒ twitter.com/ryotarotakao

高尾亮太朗の公式サイト⇒ ryotarotakao.com

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今日も長い記事を読んでいただき、ありがとうございました。

感謝・感謝・感謝です!

 

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私もごく少ない部数の時に、

いろんなメルマガ執筆者様に助けていただきましたので、

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