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【746号】自らの手でショールームになろうとするBMWの新型ディーラー店舗、その狙いとは?

BMWのロゴ

by courtesy of  RoadOver  

 

 

◎本日のニュース

1)見出し 
BMW Tosses Salesmen for ‘Geniuses’

 

 

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2)要約

BMWが、ディーラー店舗をデジタル時代に合わせて進化させている。その店舗では、フラットスクリーンや技術の専門家を設置する一方で、販売員や在庫車両を削減している。情報量を増やす一方で、販売姿勢を弱めている。

 

この変化の背景には、自動車業界が抱える不安がある。それは、ネット通販や清潔なアップルストアに慣れた消費者が、販売色の強い昔ながらのディーラー店舗にそっぽを向くのではないか、というものである。また、ディーラーは粗利益率低下にも悩まされており、デジタル機器の活用により、効率化を目指す。

 

◎キーセンンスとその翻訳

3)キーとなる英文

Luxury car maker BMW AG wants to bring its dealerships into the digital age, recommending they rip out showroom cubicles, install flat screen displays and hire “product geniuses” to explain the complex technology in its cars without the pressure to close a sale.

 

4)キーとなる英文の和訳

高級自動車メーカーのBMW社は、ディーラー店舗をデジタル時代にマッチさせようとしている。

その方法は、ショールームから商談室をなくす一方で、フラットスクリーンディスプレイを導入し、複雑な自動車技術を説明できる「製品ジーニアス」を雇うというもので、販売契約を急ぐプレッシャーを無くそうとしている。

 

5)気になる単語・表現

rip out

 

(物)をもぎ取る

cubicle

 

仕切られた小部屋

genius

 

(生まれつきの創造的)才能、天分;(技芸などの)非凡な才能;天才

close

 

(議論・仕事・取引など)を締めくくる;(取引など)をまとめる

 

◎記事から読み取った今日のヒント

6)ビジネスのヒント

自動車ディーラーと言えば、店舗前に商品を展示し、風船や派手な横断幕などで飾られているイメージがあります。しかし、BMWは、新たなディーラー店舗を増やそうとしています。従来の店舗と新型を比較すると、次のようになります。

 

【ディーラー店舗の従来型・新型比較】

[従来]風船や横断幕などで派手に装飾、セールスマンを多く配置、豊富な車両在庫、商談中心

[新型]フラットスクリーンやタブレットなどを設置、技術の専門家を配置、より清潔な店舗デザイン、情報提供中心

 

つまり、セールス拠点からショールームに変化しているのです。BMWがこのようにディーラー店舗を変化させる背景には、消費者ニーズ・ディーラー双方における環境変化があります。

 

【新型店舗が生まれる背景となった消費者ニーズの変化】

[1]    より詳しい情報が欲しい→専門家の設置

[2]    より清潔で洒落た店舗を利用したい→店舗デザインの刷新

[3]    より手軽に済ませたい→デジタル機器の活用

【新型店舗が生まれる背景となったディーラーの変化】

[1]    粗利率の低下→デジタル機器の活用、車両在庫の削減

 

まずは、消費者ニーズの変化について。消費者ニーズがこのように変化したのは、ネット通販が普及したことと、アップルストアの存在が影響しています。ネット通販では、動画を使った詳しい商品説明が得られる一方で、ユーザーの口コミ・評価を読むこともできます。つまり、販売者・利用者双方の情報を得られることができるのです。販売者からの情報がメインの実店舗とは、その情報の量・質とも異なります。ネット通販に慣れた消費者が、実店舗にネット通販と同様の情報量・質を求めても不思議ではありません。

 

アップルストアの存在も無視できません。あの清潔感に慣れた消費者、特に若者は、他の小売店舗にも同様のクオリティを求めようになります。また、店舗デザインを刷新し、清潔にすることで、求人募集をしやすくなるという効果も期待できます。

 

スマホの普及により、デジタル機器の利用に慣れれば、店員による接客を受けるよりも、デジタル機器を使った方が、手軽に情報を入手できると考える人が増えます。手軽さにより、その商品への興味が増せば、販売にもつながるもの。スマホの影響は、店舗におけるサービスにも及んでいるのです。

 

次は、ディーラー側の事情について。全米の自動車ディーラーは、新車の粗利益率低下と間接費の上昇に直面しています。間接費とは、自動車の仕入れ値以外のコスト。人件費や店舗の家賃などが、これにあたります。例えば、新車の粗利率は、2002年の6%から2012年の4%に約33%低下。一方で、間接費が上昇すれば、ディーラーの利益率はさらに低下します。そこで、利益率改善のために、デジタル機器の活用により人件費を削減し、店舗を小型化することで家賃コストを削減します。店舗面積が小さくなれば、車両在庫を削らなければなりません。

 

消費者ニーズとディーラーが直面する課題は、BMW以外の自動車メーカーも同じ。よって、店舗のイノベーションは、他のメーカーでも起こっています。例えば、GMでは、ショールームにコネクションセンターを導入。タブレットや大型スクリーンを使って、技術サポートを行っています。アウディでは、2000台のアイパッド(iPad)を導入し、来店客の利便性を向上させるとともに、業務の効率化を図っています。

 

興味深いのは、記事で示されていたディーラーの二極化。まとめると、次のようになります。

 

【予想される自動車ディーラーの二極化】

[フルサービス型]コンシェルジュのようなきめ細かいサービスを提供

[ノーフリル型]ネットやデジタル機器・コールセンターを活用することで、利便性向上と間接費削減を両立

 

航空業界で起こる、ナショナルフラッグキャリア(JALやUAなど)とLCC(ピーチ・アビエーションやライアンエアーなど)の二極化と同様の変化が、自動車ディーラーにも起こると予想されています。ただし、いずれのパターンでも、セールスマンによる販売ではなく、コミュニケーションを通じた情報提供に力点が置かれています。販売店というよりも、ショールームという意味合いを強めようとしているのです。

 

自動車のみならず、販売網が限定された他の耐久消費財にもこの動きが広まるかもしれません。ネット通販の普及により、ショールーム化を回避するどころか、耐久消費財メーカーは自らの手でショールームになろうとするのです。ショールームを通じてより詳しい情報を提供できれば、ブランドロイヤリティを高め、値崩れしないアップル型の成長が期待できるからです。

 

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《今回のヒントのまとめ》

(1) BMWの新型ディーラー店舗では、販売よりも情報提供に力点が置かれている。そのため、派手な店内装飾や販売員・在庫よりも、デジタル機器や技術専門家を重視する。

(2) この背景には、消費者ニーズとディーラーの課題がある。ネット通販やアップルストアに慣れた消費者は、清潔な店舗でより詳しい情報を手軽に欲しいというニーズが強まる。

(3) 一方で、新車の粗利率と間接費の上昇に直面するディーラーは、デジタル機器の活用や店舗の小型化によりコスト削減を進める。

(4) この結果、情報提供を行うデジタル機器や専門家の設置を増やし、コストの掛かる販売員や広い店舗を減らそうとする。

(5) このように自らの手で実店舗のショールーム化を進めることで、ブランドロイヤリティを高め、アップル型の値崩れしない成長を目指しているのではないか。

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7)おすすめ商品・サービス 

◎最近見つけたいいもの

ついにノートパソコンを新調しました。

ヤフオクで中古にしようか迷ったのですが、5年利用できれば毎月2000円程度で済むので、新品にしました。

それにしても、OSのサポートによりPCを強制的に買い換えなければならないのは、腑に落ちないですね。

かと言って、OSが無料でアップグレードできるマックでは不便ですし。

TOSHIBA dynabook kira V634 K274

 

◎ウォール・ストリート・ジャーナルで学ぶ英単語

WSJメルマガを始めてから、5年経ちました。

この5年間でわかったことがあります。

読む上で知っておくべき単語さえわかれば、

大まかな内容はわかるということ。

備忘録の意味でも、調べた単語をサイト上にアップしています。

今後、メルマガとしてスピンアウトする予定にしています。

english.ryotarotakao.com/

 

◎Winecarte 簡単ワインの選び方

ワインカルテを作る時にいつも感じるのは、

ワインの情報を探すのが大変ということ。

公式サイト・通販サイトをいくつかあたって、

作っています。

wine.ryotarotakao.com/

 

編集後記

日本でも、自動車ディーラーには変化が起こっています。

来店ハードルを下げるために、カフェのようなデザインを採用する店舗もありますね。

そういえば、グランフロント大阪にあるメルセデス・ベンツの店舗では、お茶を飲みながら、新型車を体験できたように思えます。

そうは言っても、なかなか入りづらいですが。

 

 

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今日も長い記事を読んでいただき、ありがとうございました。

感謝・感謝・感謝です!

 

 

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