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【764号】ユニクロのウルトラストレッチジーンズ人気に見る、アパレル素材の構造変化とは?

Photo:Uniqlo By:thinkretail
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◎本日のニュース

1)見出し
Cotton’s Crown Threatened by Manmade Fibers

【出典】

 

 

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2)要約

アパレル業界で、コットン(綿)から合成繊維へのシフトが起こっている。実際、アメリカの合成繊維主体の衣料輸入量は急増し、今年にもコットン主体衣料品を抜こうとしている。

 

この背景には、コットン価格の断続的上昇がある。企業はコスト削減のために、コットン主体商品を合成繊維に転換している。これに、消費者ニーズが後押し。素材よりも居心地など利便性を優先する傾向が高まり、合成繊維を使った衣料品の売上は伸びている。

 

最大のコットン消費国・中国の在庫放出やアメリカのコットン増産により、今後コットン価格の下落も考えられるが、急落が起こらない限り、コットンへの回帰は起こらないと予想されている。

 

◎キーセンンスとその翻訳

3)キーとなる英文

Pushed by persistently steep prices for the fabric, apparel makers are weaving synthetic fibers into clothing that was once 100% natural.

 

4)キーとなる英文の和訳

その布地価格の高止まりに押される形で、アパレルメーカーは、合成繊維の利用をかつて100%自然素材で作られていた衣料品に広げている。

 

5)気になる単語・表現

persistently 副詞 しつこく、頑固に;永続的に
steep 形容詞 険しい、急な;(要求・価格などが)不当に高い
weave 他動詞 ~を織る
synthetic 形容詞 合成した
fiber 名詞 繊維

 

◎記事から読み取った今日のヒント

6)ビジネスのヒント

アパレル業界で、コットンから合成繊維へのシフトが起こっているようです。しかも、この動きは、ファストファッションなどの大衆ブランドだけでなく、高級ブランドにも広がっており、「脱コットン」と言っても過言ではないでしょう。

 

アメリカの衣料品の素材別輸入シェアを見れば、脱コットンの動きは鮮明です。合成繊維主体品の輸入シェアは、2013年には48.5%にまで上昇。一方のコットン主体品は、2008年には60%を占めていたものの、2013年には49.5%にまで減少。2014年には、合成繊維主体がコットン主体品を抜くとされています。

 

コットンから合成繊維にシフトした要因は、次の2つ。

 

【アパレル業界でコットンから合成繊維にシフトした要因】

[1]    企業によるコストダウンのため

[2]    消費者ニーズのため

 

1について、企業がコストダウンのために脱コットンに動いたのは、コットン価格が高止まりしているからに他なりません。コットン価格上昇の要因は、最大の消費国である中国の在庫積み増しと最大の輸出国であるアメリカのとうもろこし・大豆など利益率の高い作物への転換があります。つまり、世界的に需要が拡大している一方で、供給が細っているので、コットン価格は高止まりしているわけです。

 

ならば、コットン価格が下落すれば、コットンへの回帰が起こりそうですが、大きく下落でもしない限り回帰は起こらないとされています。それは、消費者がコットンよりも合成繊維を選好しているからです。

 

2について、消費者は素材よりも、衣料品の利便性から商品選択を行っています。利便性とは、着心地や柔らかさ、保管のしやすさなど。アイロンがけが不要な点も、合成繊維が選ばれる大きな理由です。逆に、素材についてよく知らないので、素材を気にしない人が増加しています。コットン価格の上昇によりコットン主体品よりも合成繊維主体品の方が、安いというのも、消費者のコスパ重視傾向に合致しています。利便性が高く、安いとなれば、売上が大きく伸びても不思議ではありません。

 

実際、ユニクロではジーンズ売上に大きな変化が起きています。これはWSJの記事に取り上げられているのですが、コットンと合成繊維のポリエステル・スパンデックスを使ったウルトラストレッチジーンズの売上が急上昇しているようです。10年前は、100%コットンの商品がジーンズ売上の大部分を占めていたようです。

 

ただ、ここで一つ疑問が生じます。それは、なぜ今になって消費者が合成繊維を好むようになったのか、という点。この疑問の答えは、スポーツアパレルの売れ行きにあります。

 

【米スポーツ衣料品に関するデータ】

[スポーツ衣料品の市場規模]14%増加

[スポーツ衣料品以外のアパレル商品市場規模]2.7%増加

※2007年と2013年の比較

 

スポーツ衣料品の市場規模にはコットン主体品も含まれますが、合成繊維主体品が大部分を占めるのがスポーツ衣料品の特徴。つまり、合成繊維を使ったスポーツ衣料品が売れ行きを伸ばしており、スポーツ衣料品を通じて、消費者は合成繊維の良さに気づき、合成繊維を好むようになったのです。この消費者の選好が、スポーツ衣料以外のアパレル市場にも波及したと考えることができます。

 

元はと言えば、素材価格の上昇が合成繊維の利用を増やすきっかけになりました。これに、スポーツ衣料の普及による消費者ニーズの変化が拍車を掛けて、コットンから合成繊維へのシフトが起こりました。合成繊維をコットンの代替品と考えれば、コットンから合成繊維へのシフトは、代替品が元の商品に取って代わる好例と言えるでしょう。

 

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《今回のヒントのまとめ》

(1)コットンから合成繊維にシフトしたのは、企業によるコストダウンのためと、消費者ニーズの変化のためである。

(2)企業がコストダウンを余儀なくされたのは、コットン価格が高止まりしているから。コストがより低い合成繊維が売れるのだから、合成繊維にシフトするのは当然である。

(3)消費者がコットンよりも合成繊維を好むようになったのは、スポーツ衣料の利用を通じて、合成繊維の良さを知り、慣れたからだろう。

(4)合成繊維をコットンの代替品と考えれば、コットンから合成繊維へのシフトは、代替品が元の商品に取って代わる好例と言える。

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7)おすすめ商品・サービス

◎最近見つけたいいもの

またまた、三ノ宮で美味しい洋食を発見しました。

それは、カツハイシライスです。

ハイシライスというのは、ハヤシライスのこと。

カツとデミグラスソースが絶妙で、ボリュームも満点。

それにしても、サンセンタープラザ地下の洋食めぐりは本当に楽しい、美味しい。

グリル金プラ

 

 

◎ウォール・ストリート・ジャーナルで学ぶ英単語

WSJメルマガを始めてから、5年経ちました。

この5年間でわかったことがあります。

読む上で知っておくべき単語さえわかれば、

大まかな内容はわかるということ。

備忘録の意味でも、調べた単語をサイト上にアップしています。

今後、メルマガとしてスピンアウトする予定にしています。

english.ryotarotakao.com/

 

◎Winecarte 簡単ワインの選び方

ワインカルテを作る時にいつも感じるのは、

ワインの情報を探すのが大変ということ。

公式サイト・通販サイトをいくつかあたって、

作っています。

wine.ryotarotakao.com/

 

編集後記

この前の冬は、ダウンを着る人が本当に増えたと実感しました。

以前に比べて相当安くなり、さらに暖かいとなれば、売れて当然。

合成繊維へのシフトは、ダウン人気にも表れているようです。

 

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今日も長い記事を読んでいただき、ありがとうございました。

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