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【1018号】ザラが変えた百貨店アパレル販売の方程式

Lord and Taylor

◎本日のニュース

1)見出し

Fast-Fashion Tricks Are on Display at Department-Store Chains

 

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2)要約

ハドソンズ・ベイ社傘下の百貨店・ロード&テイラーが、ザラの販売手法を導入している。その手法とは、サプライチェーンのスピードアップを図ることにより、顧客ニーズの変化に迅速に対応するというものである。

 

具体的には、初期発注量を減らして、売れる商品の追加製造のリードタイムを短縮すること。これにより、売れ残り品の処分販売を減らし、正規価格での販売を増やせる。

 

3)キーとなる英文

The department-store chain is speeding up its supply chain to better catch popular fashion trends.

 

4)キーとなる英文の和訳

百貨店チェーンは、サプライチェーンのスピードアップを速めて、人気ファッショントレンドにより素早く追いつこうとしている。

 

5)気になる単語・表現

blouse 名詞 ブラウス
migrate 自動詞 移住する
proprietary 名詞 専売
source 他動詞 ~の供給先を見つける
intermediary 名詞 仲介者

 

(今回ピックアップ英単語)

なし

 

6)ビジネスのヒント

ザラの成功が、百貨店業界にも影響を及ぼしているようです。百貨店のアパレル販売の従来の方程式は、次の通り。

 

【百貨店アパレル販売の従来の方程式】

  1. 卸がデザインした最新コレクションを年6回注文
  2. 初回注文を多くし、時間の掛かる追加注文機会を減らす
  3. 売れ残りを徐々に値下げ販売して、全量販売を目指す

 

このような方程式になったのは、卸によるコンセプト完成から商品の店舗到着まで最大15ヶ月も掛かるから。追加注文しても届くまでに9ヶ月も掛かるので、売れそうな商品の初回注文をできるだけ多くします。そして過大とも言える在庫を、徐々に値下げ販売しながら、現金化を進めていくというモデルなのです。

 

しかし、ザラなどファストファッションの隆盛により、このモデルが機能しなくなります。また、ネット通販へのシフトもあって、百貨店など実店舗で売るアパレル小売は売上減少に直面しているのです。好例は、店舗閉鎖や人員削減などリストラを余儀なくされたメイシーズ社でしょうか。

 

そこで収益拡大に成功したザラのモデルをまとめると、次のようになります。

 

【ザラの成功の方程式】

  1. 需要の変化に迅速に対応できるように、製造リードタイムを縮小
  2. 正規価格での販売比率を増やす
  3. 店舗を含めた全社でのコミュンケーションが取りやすいので、需要を含めた外部環境の変化に迅速に対応しやすい

 

1を可能にさせるのは、製造エリアの近さです。アパレル品に多い東南アジアではなく、市場により近いスペイン・ポルトガル・モロッコで製品の半数を製造することにより、顧客ニーズの変化へのより迅速な対応を可能にしています。

 

その結果、初回注文を小さくでき、売れる商品だけを追加注文できるようになり、2が可能となり、値下げ販売をできるだけ回避できるのです。

 

また、3のように、本社ではデザイナー・仕入れ・営業が隣り合わせに仕事をし、さらに店長との定期的な情報交換も行われています。この結果、実際に売上が上がる店頭での変化がより早く本社に届くようになり、顧客ニーズの変化に迅速に対応できるようになります。

 

このモデルを採用した百貨店・ロード&テイラーのバックには、コンサルティング会社のエクセルブランズ社がいます。エクセルブランズ社は、ファストファッションの成功の方程式を、従来型のアパレル企業に売ることにより、収益を上げています。

 

【エクセルブランズ社のビジネスモデル】

  1. ファストファッションの成功の方程式を従来型アパレル企業に販売し、クライアントの売上に応じた手数料を得る
  2. 仲介企業を少なくして、工場から直接購入することにより、仕入れ価格の引き下げを可能にする
  3. 商品開発時間よりも、追加注文のリードタイムの短縮を優先させることで、在庫回転率の向上を目指す

 

1のように、単にサプライチェーンのスピードアップを目指すだけではなく、2のように、仲介企業を減らすことで、仕入れ価格の引き下げも目指しています。また、先述しましたが、迅速な対応により3のように在庫回転率を上げ、その結果、処分価格の回避・正規価格での販売増が可能になります。

 

【注目点】

  1. スピードが競争力になる
  2. 消費者ニーズの変化が早いために、商品の鮮度保持期間が短縮している

 

1について、アパレル品ではデザインがいいのは当たり前。顧客ニーズに合った商品をいかに早く提供するかというサプライチェーンこそが、求められているのです。アパレル業界以外にも、スピードがより重視されているように感じます。

 

2について、消費者ニーズの変化が早くなった背景には、もちろんネットなどによる情報の急増があります。消費者ニーズが変わりやすくなったからこそ、1のスピードがより重視されるようになったとも言えるでしょう。

 

Lord&Taylor

Xcel Brands

 

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《今回のヒントのまとめ》

  1. ザラの成功の方程式とは、サプライチェーンの短縮・社内コミュニケーションの濃密化により、顧客ニーズの変化に迅速に対応することである。この結果、値下げ販売を減らし、収益拡大が可能になる。
  2. 百貨店など従来のアパレル企業は、初回注文を過大にし、徐々に値下げすることによる完売・キャッシュ化を目指していた。このモデルが機能しなくなり、収益低迷に悩まされている。
  3. ザラの成功の方程式を採用する百貨店の背景には、エクセルブランズ社というコンサル会社が存在している。この企業は、サプライチェーンの短縮化による正規価格での販売増を目指すのみならす、仲介企業を減らすこで、仕入れ価格の低減にも寄与する。クライアントの売上に応じて、手数料収入を得るモデルである。
  4. アパレル業界のみならず、あらゆる業界でスピードが競争力になっているのではないか。その背景には、情報量の増大により、消費者ニーズが変わりやすくなったということがあるのだろう。

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7)おすすめ商品・サービス

◎最近見つけた気になるもの

図書館で借りたのですが、このマーケティング本は本当にわかりやすい。

USJという身近な成功例から、わかりやすく成功するマーケティングを述べています。

実は、読破する前に返さざるを得なかったのですが、買って読もうと思うぐらいです。

調べてみると、アマゾンでもカテゴリー別1位なんですね。

納得。

USJを劇的に変えた、たった1つの考え方 成功を引き寄せるマーケティング入門

 

楽天ブックスにももちろんありますよ

 

 

◎ウォール・ストリート・ジャーナルで学ぶ英単語

WSJメルマガを始めてから、7年経ちました。

この7年間でわかったことがあります。

読む上で知っておくべき単語さえわかれば、

大まかな内容はわかるということ。

備忘録の意味でも、調べた単語をサイト上にアップしています。

今後、メルマガとしてスピンアウトする予定にしています。

english.ryotarotakao.com/

 

◎Winecarte 簡単ワインの選び方

ワインカルテを作る時にいつも感じるのは、

ワインの情報を探すのが大変ということ。

公式サイト・通販サイトをいくつかあたって、

作っています。

wine.ryotarotakao.com/

 

編集後記

そう言えば、昔(学生の頃)時間に終われる社会人をかっこよく思っていたものです。

実際にそうなってみると、かなり大変。

だからか、体調を壊しそうになることも増えたのでしょう。

たまにはじっくり休みたいものです。

今回もギリギリの執筆になりました。

 

 

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今日も長い記事を読んでいただき、ありがとうございました。

感謝・感謝・感謝です!

 

 

 

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私もごく少ない部数の時に、

いろんなメルマガ執筆者様に助けていただきましたので、

今回は私が恩返しします!

 

 

 

 

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