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【1073号】コストコがネット通販に本腰が入らない理由とは?

 Costco

◎本日のニュース

1)見出し

Why Costco Loves Store Sales: You Try Shipping a Tub of Mayo

 

 

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2)要約

会員制倉庫型ディウカウントのコストコ・ホールセール社は、ネット通販事業を行うも、あまり力が入っていない。そのため、ネット通販市場全体が急拡大する一方で、コストコのネット通販売上増加率は直近で横ばいが続く。

 

コストコがネット通販に力が入らないのは、取り扱う商品特性による。元々家庭用商品は粗利が低い上に、コストコが得意とする大容量品は、カサ・重さとも大きく送料負担が重いからである。

 

一方のネット専業は、大容量品の販売にも着手して、コストコの牙城を取り崩そうとしている。そのやり方は、客単価を上げるとともに、粗利率の高い商品も一緒に販売するという方法である。

 

3)キーとなる英文

Costco Wholesale Corp., which built an empire selling products in bulk, hasn’t felt the need to transfer that winning strategy online.

 

4)キーとなる英文の和訳

コストコ・ホールセール社は、大容量商品の販売で帝国を築いたものの、その勝利の戦略をネットに適用する必要性をこれまで感じてこなかった。

 

5)気になる単語・表現

empire 名詞 帝国
cycle 自動詞 循環する
contrarian 名詞 わざと人と違うことをする人
flounder 自動詞 まごつく、苦労する;もがく
complication 名詞 (さらに加わる)困難のもと
tub 名詞
extoll 他動詞 ~を激賞する
prohibitive 形容詞 (値段が)途方もなく高い

 

(特に覚えておきたい単語)

【prohibit】

(意味)

 

  1. (法・団体などが)~を禁止する=stop something from being done or used especially by law≒ forbid
  2. (物・事が)(人)が~するのを妨げる(SVO from doing, SVO’s doing)≒ prevent

 

(コメント)

いずれもモノ・コトが主語。

 

6)ビジネスのヒント

会員制倉庫型ディスカウントのコストコ・ホールセール社も、市場が拡大するネット通販を行っているものの、あまり力を入れていないようです。その一方で、ネット専業のアマゾンやスタートアップのボックスド・ドットコムが、コストコの得意とする大容量家庭用商品のネット販売に力を入れています。

 

コストコがネット通販に本腰を入れていない理由をまとめると、次のようになります。

 

【コストコがネット通販に力が入らない理由】

  1. 大容量家庭用商品は、ネット通販に不向きだから
  2. 実店舗の既存店売り上げが好調だから
  3. 実店舗販売こそ、コストコの強みだから

 

1について、大容量家庭用商品は、まず粗利率が低い。だから、送料負担の重いネット通販には不向きなのです。さらに、大容量なのでカサ・重量が大きくなるため、送料は通常商品よりも割高になります。そのため、コストコの通販サイトでは、実店舗よりも高い価格で販売されている商品が多いようです。

 

2について、他の実店舗型小売企業がネットシフトの影響を受けて苦戦する一方で、コストコの既存店売り上げは好調なようです。だから、ネット通販に力を入れる必要自体を感じてないのが現状なのです。

 

3について、そもそもコストコは実店舗販売にこそ強みを持ちます。つまり、定期的な新規商品を投入することで、売場に宝探しのような要素を組み込み、衝動買いを促すことを得意としています。そして、その強みは実際に売上増に結びついています。

 

もちろん、ネット通販市場の拡大を見て、コストコも通販サイトを運営しています。その特徴は以下の通りです。

 

【コストコネット通販の特徴】

  1. 実店舗よりも価格は高く設定
  2. 実店舗よりも大きな容量の商品を販売
  3. 非会員にも販売
  4. 約1万アイテム

 

1・2は、送料負担の重いネット通販対策です。送料すべてを顧客に負担してもらうことは難しく、コストコも負担しなければなりません。記事によると、13ドルの桶型のマヨネーズを送るのに、5~8ドルの送料が掛かるようです。その原資を生み出すために、コストコは商品1つあたりの単価・粗利率を高める努力をしています。それが、高めの価格設定とより大きな商品の販売なのです。

 

3は、ネット通販の売上拡大策の1つ。実店舗では、会員しか買い物できませんが、ネット通販では、客数増を目指して非会員の購入を認めています。ただし、表示価格よりも5%割高になるようです。また、ネット通販を非会員にも公開することで、入会を促します。これにより、コストコの重要な収益源である会費収入の増加を図ることができます。

 

4について、実店舗では約3700アイテムしか販売しないだけに、ネット通販の品揃えの豊富さがわかるかと思います。売場スペースに制約のないネット通販の強みを最大限に活かしています。

 

他の会員制ディスカウントチェーンのネット通販事情も、記事では取り上げられています。

 

【コストコと競合する企業のネット通販】

  1. ビージェイズ・ホールセール・クラブ社:約1万アイテムを販売。多くの食品・その他家庭用商品は、店舗引取のみ。
  2. サムズクラブ(ウォルマート・ストアーズ社運営):660の全米店舗のうち65店舗で、ネット注文品の受取専用ドライブスルーを設置。約5万1000アイテムを販売。

1・2とも、負担の重い送料対策に知恵を出しています。ビージェイズは、利益率の低い食品・家庭用商品の宅配を行わずに、店舗引取に限定。実店舗を持つ強みを活かしています。また、実店舗への来店を促し、衝動買いも期待できます。

サムズクラブも、ドライブスルーを設置することで、暗に店舗引渡を促しています。実店舗・ネット双方で購入してくれる顧客は、客単価・会員の更新確率とも高いようです。そのため、利益率の低いネット通販をわざわざ行うことで、顧客との接触機会を増やし、ロイヤルティを高めることを目指しているのです。コストコもこの効果を狙っているのでしょう。

 

一方のネット専業は、コストコの得意とする大容量の家庭用商品の販売にも進出し、コストコのシェアを侵食しています。

 

 

【ネット通販専業の大容量家庭用商品戦略】

  1. アマゾン:利益率の低い大容量家庭用商品の近くで、小型・高利益率の商品を販売
  2. ボックスド・ドットコム:独自でセレクトした商品のセット販売

 

1について、アマゾンが大容量家庭用商品の隣に、小型・高利益率の商品を販売するのは、送料の原資を創出するためです。小型の商品だけに、大容量品と一緒に配送することで、追加の送料は発生せず、その高い利益額を送料に当てることができます。

 

2について、ボックスド・ドットコムは、ニューヨーク本社のスタートアップ企業。独自にセレクトした商品の詰め合わせを販売することで、高い客単価の設定に成功しています。セット商品の価格は、10アイテムで100ドルを目標に設定されているようです。ただし、ネット系スタートアップによくありがちですが、売上は急増しているものの、依然利益は出せていません。

 

アマゾンの採る小型・高利益率商品の併売は、コストコなどの会員制ディスカウントチェーンにも取り入れられそうです。いかに送料の原資を創出するかが、大容量家庭用商品のネット通販の成否を分けるようです。

 

【注目点】

  1. 会員制小売にとって、ネット通販の本当の目的は、会員の更新?
  2. 小型・高利益率商品をネット販売することで、逆にその特徴・ブランドロイヤルティが薄れる恐れがある

 

1について、会員制小売にとって、会費収入は大きな収益源。そのビジネスモデルの支柱とも言えます。だから、ネット通販でたとえ大きな利益をあげられなくても、会員の更新確率を引き上げられれば御の字なのではないでしょうか。さらに、コストコのように非会員にもネット通販を公開することで、入会が期待でき、会費収入を増やせます。

 

2について、アマゾンのやり方は参考にはなるものの、あまり露骨にやれば、通販サイトが実店舗と大きく乖離しかねません。その結果、チェーンの持つブランド・特徴が希薄化し、ブランドロイヤルティの低下を引き起こす恐れがあります。

 

ネット通販市場の拡大を見ると、コストコもいずれ悪影響を受ける可能性は高いでしょう。だからこそ、実店舗が好調な今のうちにネット通販に投資した方がいいかもしれません。宅配するかどうは別にしても、ネットで注文するという流れはこの先も続くでしょう。

 

 

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《今回のヒントのまとめ》

  1. コストコがネット通販に力をあまり注がないのは、得意とする大容量家庭用商品がネット通販に不向きだからである。また、実店舗が好調であり、実店舗にこそ強みを持つので、そもそもネット通販を行う必要性が低いという理由もある。
  2. コストコの通販サイトの特徴は、実店舗よりも価格が高く、容量が大きいという点である。また、非会員にも公開しており、入会を促す目的もある。
  3. 同業の会員制ディスカウントチェーンのネット通販の共通点は、店舗引取を促すことで送料負担を回避している点である。
  4. ネット専業も大容量家庭用商品の販売に進出している。興味深いのは、アマゾンが行う小型・高利益率商品の併売である。追加送料なしのため、その利益を送料の原資に当てることができる。
  5. 会費収入が重要な会員制小売業にとって、ネット通販は会員更新を促す効果が期待できる。また、非会員にも公開することで、入会を促し会費収入を拡大できる。

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7)おすすめ商品・サービス

◎最近見つけた気になるもの

またまたふるさと納税ネタ・小正醸造ネタです。

 

ふるさと納税で頂いた3升の焼酎が、予想以上に美味しかった。

フルーティーな黄猿しかまだ飲んでいませんが、あまりの美味しさにもったいなく感じ、ちびちび飲むほどです。

ここまでフルーティーな芋焼酎を飲んだことはありません。

さらに、ワイン酵母で仕込んだ麦焼酎の白猿は、飲むのが楽しみで仕方がありません。

今年もいただこうかと思います。

日置市さん・小正醸造さん、ありがとうございます。

 

【ふるさと納税】赤猿・黄猿・白猿の1升瓶3本セット 小正醸造

 

もちろん、楽天市場で販売もありますよ。

いいもの作るなぁ、小正醸造さんは。

 

 

編集後記

いつの間にかコストコを利用しなくなりました。

会費も収めていないので、もう会員ではありません。

ただ、メルマガが届くので、たまに行きたくなります。

年間4000円近くは、少し高いかなぁ。

 

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今日も長い記事を読んでいただき、ありがとうございました。

感謝・感謝・感謝です!

 

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私もごく少ない部数の時に、

いろんなメルマガ執筆者様に助けていただきましたので、

今回は私が恩返しします!

 

 

 

 

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