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【711号】米マクドナルドでサラダ・スムージーが売れない本当の理由

McDonald's Fruit & Maple Oatmeal

by courtesy of theimpulsivebuy

 

 

◎本日のニュース

1)見出し 
At McDonald’s, Salads Just Don’t Sell

 
 

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2)要約

マクドナルドは、「特大サイズ」というイメージ払拭のためヘルシーメニューを導入したものの、10年前のマックグリドルのようなヒット商品にはなっていない。そればかりか、収益悪化の要因にさえなっている。

 

売れない理由は、顧客がマクドナルドにヘルシーメニューを望んでいないからである。一方、マクドナルド側は、肥満促進への批判に応えるとともに、あらゆる人のあらゆるニーズを満たすために、ヘルシーメニューを販売している。

 

マクドナルドとは対照的な商品を販売する競合他社もある。例えば、ウェンディーズは、ビッグマックよりもカロリーの高い期間限定バーガーを導入。定番化するまでのヒット商品に成長している。

 

◎キーセンテンスとその翻訳

3)キーとなる英文

But the fast-food company hasn’t had a new product become a bona fide blockbuster—a unique new product that stays on the menu and meaningfully affects business—since the 2003 introduction of the pancake sandwiches it calls McGriddles, according to analysts.

 

4)キーとなる英文の和訳

しかし、アナリストによると、ファストフード企業であるマクドナルド社は、2003年にマックグリドルというパンケーキ風サンドイッチを発売して以来、新商品を本当の大ヒット商品にできなかった。

本当の大ヒット商品とは、定番メニューとなるとともに収益に大きく影響するユニークな新商品である。

 

5)気になる単語・表現

have O V

他動詞句

O(人)に~させる(makeよりも弱い)

bona fide

形容詞

真実の、本物の

blockbuster

名詞

大ヒット作;大型爆弾

meaningfully

副詞

有効に;意味ありげに

 

◎記事から読み取った今日のヒント

6)ビジネスのヒント

マクドナルド社(Mcdonald’s Corp.)は、2003年からヘルシーメニューを随時導入していますが、ヒット商品には育っていないようです。ヒット商品とは、定番メニュー化して収益にも大きく貢献する商品。マクドナルドで言えば、2003年のマックグリドル(McGriddles)がこれに当たります。ヘルシーメニューに限らず、この10年間にマックグリドルのようなヒット商品が生まれなかったことが、マクドナルドの業績悪化の一因とされています。

 

マクドナルドがヘルシーメニューを導入した背景には、社会からの要請や批判があります。それは、マクドナルドのメニューが肥満を促進しているという批判です。このような批判が生まれたのは、10年前に「スーパーサイズミー(Super Size Me)」という販促を行ったからに他なりません。特大サイズを格安に販売したために、「マクドナルド=肥満を増長」という認識が定着しました。このイメージ払拭のためのヘルシーメニュー導入だったのです。

 

【マクドナルドがヘルシーメニューを導入してきた理由】

健康に悪そうなイメージを払拭するため

 

しかし、思うように売れていないのが現状です。その理由は、顧客の次の言葉が物語っています。

「新商品以上にバリューを求めてマクドナルドに行くのさ」

 

顧客がマクドナルドに求めるのは、新商品ではなく、「早さ」「安さ」なのです。サラダが食べたければ、マクドナルドではなくパネラブレッド(Panera Bread)に行くのです。このブランドイメージが出来上がっているために、マクドナルドがいくらヘルシーメニューを導入しても、顧客には響かなかったのです。一方のマクドナルドは、あらゆる人のあらゆるニーズに対応するために、ヘルシーメニューを導入してきたのであり、顧客ニーズの変化に対応出来なかったからこそ、売れ行きが芳しくなかったとしています。ここにギャップが存在しています。

 

【マクドナルドのヘルシーメニューが売れなかった要因】

[本当の要因]顧客はヘルシーメニューをマクドナルドに求めていないから

[マクドナルドが考える要因]顧客ニーズの変化に対応できなかったから

→ギャップが生まれている

 

一方、競合他社には、マクドナルドとは真逆の新商品導入で業績を好転させている企業があります。

 

【非ヘルシーメニューで業績好転させたファストフード企業】

[ウェンディーズ]プレッツェルベーコンチーズバーガー(Pretzel Bacon Cheeseburger)を発売。ビッグマックよりも130カロリー高いが、7月の発売以来ヒット商品に。期間限定品だが定番化されること必至。

[タコベル]ドリトスロコスタコス(Doritos Locos Tacos)は、販売個数が50万以上に上るヒット商品に。通常のタコスよりも塩分は50ミリグラム多い。2012年の発売以来、歴代のベストセラー商品の仲間入り。既存店売上のプラス転換に大きく貢献。

 

これらの事例を見る限り、ファストフード店を利用する人は、ヘルシーメニューよりもガッツリメニューを求めていることがわかります。マクドナルドは、この顧客ニーズを読み違えたために、ヘルシーメニューで失敗したのです。

 

ヘルシーメニューの立て続けの導入は、別の悪影響をもたらすことになります。

 

【ヘルシーメニュー導入による悪影響】

メニュー数の増加・オペレーションの複雑化→生産性の低下(店舗・顧客双方に影響)

 

既存店売上高を好転させるためにヘルシーメニューを導入したものの、逆に収益を圧迫することになります。メニュー数が増えるだけでなく、ハンバーガーとは調理方法や食材が異なるサラダ・スムージー・オートミールを販売すれば、オペレーション(調理から提供までの一連のプロセス)がより複雑化するのは当然。それは、提供スピードの遅れにつながり、収益を悪化させることになります。実際、毎年ドライブスルーのサービスレベルを調査する業界紙・QSRマガジンによると、今年初めの調査にて、マクドナルドのドライブスルーの平均提供スピードが、ここ15年で最も遅いということが判明しました。一つの注文に対して、189.49秒掛かったそうです。

 

また、WSJ記事に掲載されているドライブスルーメニューを見ると、そのメニューの多さが印象的です。これだけメニューが多いと、来店客も選ぶのに時間が掛かり、注文までの時間が長くなります。これも、ドライブスルーの生産性低下を招き、収益にはマイナスに働きます。ドライブスルーは、アメリカでの売上の大部分を生み出す大黒柱なので、生産性の低下は収益悪化にもろに響くことになります。

 

ヘルシーメニューの失敗だけでなく、バリューメニュー(低価格メニュー)の価格変更も、収益に対しマイナスに働きました。具体的には、単価の高いエキストラバリューメニューを導入するも、客数が大きく減少し失敗。その後、改めてダラーメニュー(1ドルメニュー)への販促を強化。今年からは、ダラーメニューアンドモア(Dollar Menu & More)として、単価の高いメニューを1ドルメニュー(もう「1ドルメニュー」とは言えないですが)に加えました。低価格品の価格設定を巡るこの迷走ぶりが、低価格志向の強い顧客の流出をもたらしているようです。

 

ヘルシーメニューやバリューメニューにおけるマクドナルドの失敗は、マーケティング活動がブランドイメージにそぐわなかったことに起因すると言えるでしょう。

 

【マクドナルドのマーケティング活動とブランドイメージの乖離】

[マーケティング活動]品質をアップさせた高単価メニューの導入

[ブランドイメージ]安さと早さ(決して品質ではない)

 

顧客が「安さ」と「早さ」を求めているのに対し、マクドナルドはヘルシーメニューなど品質をアップさせた高単価商品を導入したからこそ、顧客離れが起こったのです。「安さ」「早さ」というブランドイメージのチェーンが、品質を重視した単価の高い商品を販売するのは、大変難しいことなのです。

 

そこで、最後にマクドナルドへの解決策を示して、今回の記事を締めたいと思います。

 

【マクドナルドへの提案】

[1]      新市場で既存品を販売→ガソリンスタンド内にマックカフェを展開

[2]      既存市場に新商品を別ブランドで販売→高級バーガーやエスニック料理のチェーンを別ブランドで展開

 

1は、マクドナルドの持つ「安さ」「早さ」というブランドイメージを活用した解決策であるのに対し、2は、新たなブランドイメージを別ブランドで展開するというやり方です。客単価引き上げを目指すならば、マクドナルドというブランドに頼るのではなく、新たなブランドを一からつくり上げる覚悟が必要なのです。

 

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《今回のヒントのまとめ》

1)     肥満促進批判に対して、マクドナルドはヘルシーメニューを導入するも失敗。その要因は、顧客が持つ「安さ」「早さ」というブランドイメージにそぐわないからである。

2)     ヘルシーメニューの導入は、販売不振だけでなく、生産性低下による既存品の売上を悪化させる結果となり、その結果9年ぶりに既存店売上がマイナスに転じた。

3)     一方、競合ファストフードチェーンであるウェンディーズやタコベルは、ヘルシーとは対極のガッツリメニューを導入し、売上拡大に成功している。

4)     マクドナルドの失敗は、ブランドイメージにそぐわないマーケティング活動は失敗に終わるということを物語っている。

5)     「安さ」「早さ」ではなく「高品質」をウリにしたいならば、別ブランドで勝負するしかない。

 

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7)おすすめ商品・サービス 

◎最近見つけたいいもの

先日、こちらの格安ワインを飲みました。

実は、カルディの特売にて500円で購入。

格安ピノ・ノワールは失敗することが多いのですが、これが意外に美味しかったんです。

カリフォルニアだったからかな。

今でも一部店舗で販売されているので、熟したピノを飲みたい人は是非。

フォレストヴィル ピノ・ノワール

 

◎ウォール・ストリート・ジャーナルで学ぶ英単語

WSJメルマガを始めてから、5年経ちました。

この5年間でわかったことがあります。

読む上で知っておくべき単語さえわかれば、

大まかな内容はわかるということ。

備忘録の意味でも、調べた単語をサイト上にアップしています。

今後、メルマガとしてスピンアウトする予定にしています。

english.ryotarotakao.com/

 

◎Winecarte 簡単ワインの選び方

ワインカルテを作る時にいつも感じるのは、

ワインの情報を探すのが大変ということ。

公式サイト・通販サイトをいくつかあたって、

作っています。

wine.ryotarotakao.com/

 

編集後記

阪神の浅井選手が戦力外になりました。

地味な選手なのですが、その癒し系の風貌がとても好きでした。

まだまだやれる選手だけに、他の球団で頑張ってもらいたいものです。

 

高尾亮太朗のツイッター⇒ twitter.com/ryotarotakao

高尾亮太朗の公式サイト⇒ ryotarotakao.com

高尾亮太朗のTubmlr⇒ ryotarotakao.tumblr.com

高尾亮太朗のGoogle+⇒ gplus.to/ryotarotakao

高尾亮太朗のPinterest⇒ pinterest.com/ryotarotakao/

今日も長い記事を読んでいただき、ありがとうございました。

感謝・感謝・感謝です!

 

 

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私もごく少ない部数の時に、

いろんなメルマガ執筆者様に助けていただきましたので、

今回は私が恩返しします!

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