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【712号】増収増益のパネラブレッドの株価が急落した本当の理由

パネラブレッドの店舗

by courtesy of Jack Kennard

 

◎本日のニュース

1)見出し 
Panera Says It Can’t Handle Crush

 

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2)要約

ベーカリーカフェのパネラブレッド社は、第三四半期決算を発表した。増収増益に終わったものの、株価は急落。今期見通しを下方修正したことが主要要因であり、客数の減少が招いた結果である。

 

客数の減少を招いたのは、非効率なオペレーションのために、ランチタイムなどのピーク時に販売機会を逃したからである。長い行列を見て来店を諦めたり、注文の聞き間違いで再来店をやめて顧客も多いという。そのため、今後、従業員の増員やキッチンやITへの投資を増やし、効率化を目指すという。

 

レストラン業界の勝ち組とされるパネラブレッドであるが、同業のファストカジュアル業態だけでなく、ファストフード業態との競争も激化している。

 

◎キーセンテンスとその翻訳

3)キーとなる英文

Panera Bread Co. said its restaurants’ inability to handle customer demand is behind a slowdown that prompted it to lower profit and growth forecasts for this year.

 

4)キーとなる英文の和訳

パネラブレッド社の発表によると、店舗が来店客を捌ききれなかったことが、成長鈍化の要因であるという。

その結果、今年の利益・成長見通しを下方修正せざるを得なくなった。

 

5)気になる単語・表現

inability

名詞

無力、~することができないこと

handle

他動詞

~を扱う、~を対処する

 

◎記事から読み取った今日のヒント

6)ビジネスのヒント

パネラブレッド社(Panera Bread Co.)は、ベーカリーカフェを運営する外食企業。通常のベーカリーカフェではなく、ファストフードのような迅速さと割安な価格で、フルサービスレストランのような高品質のメニューを提供する、ファストカジュアル業態という特徴を持っています。これまでは、外食業界の平均を上回る成長を遂げてきましたが、直近四半期でその成長が鈍化したというのが、この記事のメインテーマです。

 

そこで、直近の第三四半期と今後の見通しをまとめると、次のようになります。

 

【パネラブレッド社の第三四半期決算と今後の見通し】

[第三四半期]8%の増収、17%の増益、一株利益は1.48ドル(前回予想は1.32~1.36ドル)既存店売上高は1.7%増(前回予想は2~4%増)、客単価2.7%増(値上げ1.7%・注文数1.0%)、客数1%減

[第四四半期予想]一株利益1.91~1.97ドル(前回予想は2.05~2.11ドル)、既存店売上高は0~2%(前回予想は3~5%)

[今期予想]一株利益は二度目の引き下げ、既存店売上高は3度目の引き下げ

※既存店売上高は直営店のみ

 

第三四半期の結果だけを見ると、増収増益なのですが、予想値には届かなかったことがわかります。その要因は、客数の減少です。

 

客数の減少を招いたのは、ランチ時などのピーク時に来店客を捌けなかったから。つまり、長い行列を見て来店を諦めたり、注文の聞き間違いに嫌気して再来店をやめた顧客が相当数出た結果、客数が減少したのです。そこで、パネラブレッドは、次のような手を打つと発表しています。

 

【客数増のためのパネラブレッドの施策】

[従業員の増員]

[投資拡大]キッチン機材への投資、スピード・正確さを増強させるIT投資、既存店舗へのケータリング専門施設の増築

[サービス削減]メニューの削減、電話注文をネット注文に統合

[均一価格メニューの導入]節約志向の強い消費者の新規獲得・来店機会増

 

従業員の増員は、そのままオペレーションのスピードアップにつながります。投資拡大では、キッチンへの投資により調理時間が短縮し、IT投資により注文を受けたメニューを正確に早く提供することが可能になります。注文数の少ないメニューを削減することで仕込時間が短くなり、電話注文をやめることで付随業務が削減されるので、受注から提供までのオペレーションに割ける人員・時間を増やすことが可能になります。この結果、スピードアップが図れるのです。

 

ここまでは、行列の長さや受注の不正確さに不満を持った見込み客や、昔の顧客の獲得を目指したもの。一方、均一価格メニューの導入は、新規顧客獲得や来店機会を増やすための施策であり、目的が異なります。もともとパネラブレッドの価格帯は、フルサービスレストランよりも低いものの、ファストフードレストランよりも高く、高品質の料理を早く割安に食べたい消費者をターゲットにしていました。そのパネラブレッドが節約志向の強い消費者獲得を目指すということは、外部環境に変化が起きたということです。その変化をまとめると、次のようになります。

 

【パネラブレッドが直面する外部環境の変化】

[1]    ファストカジュアル業態内やファストフード業態との競争激化

[2]    消費者の節約志向の高まり

 

1について、パネラブレッドは、チポトーレメキシカングリル社(Chipotle Mexican Grill Inc.)、新たに上場したヌードルズアンド社(Noodles & Co.)やポットベリー社(Potbelly Corp.)などの他のファストカジュアルチェーンとの競争が激化しています。それだけでなく、ウェンディーズなどのファストフードチェーンが、セットメニューにサラダを付けたり、パネラブレッドと似たメニューを提供するなど、ファストフードチェーンとの競争も激しくなっているのです。これだけファストカジュアルの選択肢が増えれば、既存顧客の来店頻度を高めるのにも限度があります。だからこそ、客数を増やすために、節約志向の強い消費者という、新たな顧客層の開拓を余儀なくされたと考えることができます。

 

2について、これはWSJ記事には書かれてありませんでしたが、消費者の節約志向の高まりが、客数の減少を招いている可能性があります。記事のコメント欄には、「美味しかったけど、9ドルの価値はなかった」という意見がありました。そしてその投稿者は、もう再来店はしないと書いています。このような来店客が増えれば、顧客の喪失は避けられず、新たな顧客を開拓する必要があります。だからこそ、これまではメインターゲットではなかった節約志向の強い消費者の獲得を、目指しているのではないでしょうか。均一価格のメニューを作れば、予算内にランチを抑えたい消費者の来店が期待できます。

 

しかし、均一価格メニューの導入は、目論見通り客数が増えなければ、客単価が下落するという危険性も抱えます。従来は価格に関係なく好きなメニューを注文していた既存顧客が、均一価格メニューに切り替えれば、客単価が下落するからです。直近四半期の増収要因が、値上げと注文数の増加による客単価の増加であることを考えれば、客単価の下落により、減収に陥る可能性があります。

 

さらに、ファストフードが得意とする均一価格メニューの導入は、パネラブレッドのファストフード化と捉えることができます。ファストフードと同質化することにより、価格競争に巻き込まれる可能性があるのです。

 

このような収益をマイナスに陥れる可能性のある均一価格メニューの導入こそが、株価を急落させた本当の要因ではないでしょうか。

 

Panera Bread 

Chipotle Mexican Grill

Noodles & Company

Potbelly

パネラブレッド業績に関する記事

goo.gl/EHbNxD

nrn.com/service/panera-address-service-speed

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《今回のヒントのまとめ》

1)  パネラブレッドが直面する一番の問題は、客数の減少である。これが今期見通しの下方修正を招き、株価急落の原因となった。

2)  このテコ入れ策として、従業員の増員やキッチンやIT投資の拡大、サービス削減を行い、早く正確に注文商品を提供できる体制を整える。

3)  一方、均一価格メニューを導入することで、節約志向の強い消費者を獲得し、客数増につなげようともしている。

4)  この背景には、ファストカジュアル業態間やファストフード業態との競争激化や、消費者の節約志向の高まりがある。

5)  しかし、目論見通り客数が増えなければ、客単価の下落を招くことになり、減収に落ち込み危険性がある。

6)  この危険性に着目して株価が急落したと考えれば、均一価格メニューの導入が株価急落の本当の要因と捉えることができるのではないか。

 

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7)おすすめ商品・サービス 

◎最近見つけたいいもの

先日、こちらの格安ワインを飲みました。

実は、カルディの特売にて500円で購入。

格安ピノ・ノワールは失敗することが多いのですが、これが意外に美味しかったんです。

カリフォルニアだったからかな。

今でも一部店舗で販売されているので、熟したピノを飲みたい人は是非。

ちなみに神戸の店舗では598円で販売されていました。

フォレストヴィル ピノ・ノワール

 

◎ウォール・ストリート・ジャーナルで学ぶ英単語

WSJメルマガを始めてから、5年経ちました。

この5年間でわかったことがあります。

読む上で知っておくべき単語さえわかれば、

大まかな内容はわかるということ。

備忘録の意味でも、調べた単語をサイト上にアップしています。

今後、メルマガとしてスピンアウトする予定にしています。

english.ryotarotakao.com/

 

◎Winecarte 簡単ワインの選び方

ワインカルテを作る時にいつも感じるのは、

ワインの情報を探すのが大変ということ。

公式サイト・通販サイトをいくつかあたって、

作っています。

wine.ryotarotakao.com/

 

編集後記

パネラブレッド、一度行きたいのですが、日本に上陸しないかなぁ。

 

高尾亮太朗のツイッター⇒ twitter.com/ryotarotakao

高尾亮太朗の公式サイト⇒ ryotarotakao.com

高尾亮太朗のTubmlr⇒ ryotarotakao.tumblr.com

高尾亮太朗のGoogle+⇒ gplus.to/ryotarotakao

高尾亮太朗のPinterest⇒ pinterest.com/ryotarotakao/

今日も長い記事を読んでいただき、ありがとうございました。

感謝・感謝・感謝です!

 

 

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私もごく少ない部数の時に、

いろんなメルマガ執筆者様に助けていただきましたので、

今回は私が恩返しします!

 

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