【751号】サブウェイがモバイル広告よりもテレビCMを重視するのはなぜ?
by courtesy of Allen Reeves
◎本日のニュース
1)見出し
The Secret of Selling the $5 Footlong
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2)要約
ファストフードチェーン・サブウェイのCMO(最高マーケティング責任者)であるペース氏は、真新しいSNSなどのメディアを重視するのではなく、さまざまなメディアを使って、マーケティングを行う。また、マーケティング活動の収益性にも目を配る。
一番重視していることは、新しいメディアが出てきたら、できるだけ早くトライ&エラーを行い、メディアの有効性を学ぶ。ただし、そのメディアが単なる流行なのか、それとも大きな変化をもたらす存在なのかを、よく見極めるという。
ビッグデータに関しては、データ量が問題なのではない。というのも、データが多ければ、洞察が生まれるとは限らないからだ。データから仮説を作り、それを実証することが重要とする。
◎キーセンンスとその翻訳
3)キーとなる英文
It was a move that reflected Mr. Pace’s emphasis on being nimble and keeping ahead of the competition.
4)キーとなる英文の和訳
その施策こそ、ペース氏が強調していることを物語っている。
それは、素早く実行し、競争に優位に立つことである。
5)気になる単語・表現
reflect |
他動詞 |
~を映す |
emphasis on |
名詞句 |
~の強調、重要視 |
nimble |
形容詞 |
素早い、軽快な;機転が利く |
keep ahead of |
自動詞句 |
~に優位に立つ |
◎記事から読み取った今日のヒント
6)ビジネスのヒント
今回の記事のタイトルは、”The Secret of Selling the $5 Footlong”「5ドルのフットロングサンドイッチ(ロングサイズのサンドイッチ)を売る秘訣」ですが、残念ながら具体的な方法には言及されていませんでした。ソーシャルメディアをどのように利用したとか、比較対象を他社のどのメニューに設定することで割高感を抑えたか、などが書かれているかと期待したのですが、どちらかというとマーケティング責任者のペース氏のマーケティング戦略全般が述べられています。ちなみに、記事はインタビュー方式。そこで、タイトルがとても興味深い内容なので、マクドナルドのハンバーガーよりも割高な5ドルのサンドイッチを売るために、どのようなマーケティング活動を行ったのかについて、インタビュー記事から推測したいと思います。
まず、ペース氏のマーケティング戦略をまとめると次のようになります。
【サブウェイCMO・ペース氏のマーケティング戦略】
[1] 行動は素早く
[2] トライアンドエラーを繰り返す
[3] 品質を訴えるためにインパクト重視
[4] ビッグデータは仮説設定・実験に活用
[5] 収益性だけでなくメディアの信頼性も重視する
インタビューで何度も繰り返されていることは、1・2に当たります。例えば、他社に先駆けて新しいメディアを活用し、その結果からマーケティング効率を上げるようにします。このような考えに至ったのは、メディアの変化が凄まじく、どれが効率がいいかはやってみなければわからないから。また、スーパーボウルのCM枠に空きが出るや、すぐさま出稿を決めるなど、素早い行動もペース氏の特徴と言えます。
3について、価格競争の激しいファストフード業界では、広告でお得感(安さ)ばかりを強調しがちですが、ペース氏はお得感と同じほどインパクトを重視します。だからこそ、割高な5ドルのサンドイッチが売れたのでしょう。
4について、ビッグデータ活用が叫ばれていますが、重要なのはビッグデータそのものではありません。というのも、いくら多くのデータ量を集めても、それがそのまま洞察になるとは限らないからです。重要なのは、集めたデータから仮説を立て、実行すること。もちろん、素早い実行であり、トライアンドエラーが行われます。
5について、ペース氏はネット動画広告に対して、慎重な姿勢を保っています。というのは、どれだけの視聴者がいるのか保証がないからです。だから、割高でも視聴率がより確かなテレビCMに力を入れています。
このようなマーケティング戦略から、割高な5ドルのフットロングが売る方法を推測すれば、次のようになります。
【サブウェイが5ドルのフットロング売る秘訣(推測)】
[1] ソーシャルメディアなど新旧メディアをフルに活用
[2] 顧客の購入履歴から高くても受け入れられそうな具材を採用
[3] モバイル広告よりもよりインパクトのあるテレビCMを重視
1は、素早い行動とトライアンドエラーから推測できます。ただしペース氏は、ソーシャルメディアに対して、あまり大きな期待を抱いていません。というのも、消費者のコミュニケーションに依存するため、予測できないことが起こりうるからです。トライアンドエラーとして試すものの、主体は従来型のメディア広告です。
2は、ビッグデータ活用そのものです。顧客の購入データから、顧客属性とよく購入する商品がヒモ付されます。そこから、その属性に向けたプレミアム商品を開発すれば、5ドルでも売れることになります。
3について、5ドルのサンドイッチは、マクドナルドなど他のサンドイッチチェーンと比べて割高であり、価格で勝負する商品ではありません。よって、割安感よりも品質をアピールしなければなりません。そこで活用されたのが、大きなスクリーンでインパクトを出せるテレビCM。小さなスマホ画面で表現するモバイル広告ではないのです。インタビューの中でペース氏は、モバイル広告にあまり予算を割けないのは、スクリーンが小さいから、と話しています。大きなスクリーンの方が、広告はより説得力を増すので、テレビCMに力を入れているのです。
日本のサブウェイでは、ハーフでだいたい4~5ドルします。よって、ハーフの二倍であるフットロングで5ドルと言えば、とても安く感じます。しかし、アメリカのサブウェイでは、フットロングで4.5ドルから。だから、5ドルのフットロングは、サブウェイの中ではさほど高い商品ではないですが、他のファストフードチェーンのメニューと比べると、かなり割高です。その割高なメニューが売れるのは、価格よりも品質をアピールするために、インパクトのあるテレビCMを重視しているからでしょう。
記事に掲載されていた広告媒体の推移表を見ると、パソコンやモバイルなどネット広告の予算額が今後も増加するようですが、テレビ広告費もそれに負けじと伸びています。品質を訴える商品ならば、大きなスクリーンでインパクトの出せるテレビCMの方が向いているのかもしれません。
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《今回のヒントのまとめ》
1) サブウェイがマーケティングで重視していることは、素早い行動、トライアンドエラー、品質訴求のためのインパクト重視、仮説・行動のためのビッグデータ活用、コストよりも信頼性である。
2) 5ドルのフットロングサンドイッチは、サブウェイの中ではさほど高くないが、他のファストフードチェーンのメニューと比較すると、割高な商品。
3) これを売るために、新旧メディアの利用やビッグデータ活用による商品開発が行われているのだろう。
4) また、インパクトを出すために、大きなスクリーンで流れるテレビCMを、スクリーンの小さなモバイル広告よりも重視している。
5) 品質訴求ならば、モバイルよりもテレビCMの方がいいかもしれない。
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7)おすすめ商品・サービス
◎最近見つけたいいもの
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ただし、既存の机も活用するため、買ったのは天板だけです。
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WSJメルマガを始めてから、5年経ちました。
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読む上で知っておくべき単語さえわかれば、
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備忘録の意味でも、調べた単語をサイト上にアップしています。
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◎Winecarte 簡単ワインの選び方
ワインカルテを作る時にいつも感じるのは、
ワインの情報を探すのが大変ということ。
公式サイト・通販サイトをいくつかあたって、
作っています。
編集後記
日本のサブウェイでは、3月27・28日がサブウェイの日とされています。
この日は、2つのメニューだけですが、290円という破格の価格で味わえます。
是非食べてみたいと思います。
高尾亮太朗のツイッター⇒ twitter.com/ryotarotakao
高尾亮太朗の公式サイト⇒ ryotarotakao.com
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今日も長い記事を読んでいただき、ありがとうございました。
感謝・感謝・感謝です!
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私もごく少ない部数の時に、
いろんなメルマガ執筆者様に助けていただきましたので、
今回は私が恩返しします!
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